<3723> 奈良県のレッドデータブックの花たち(195)ナンゴククガイソウ(南国九蓋草) オオバコ科(旧ゴマノハグサ科)
[学名] Veronicastrum japonicum var. australe
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種(環境省:絶滅危惧Ⅱ類)
[特徴] 日当たりのよい落葉樹林や針葉樹林帯の岩場や草地に生えるクガイソウの変種で知られる多年草で、茎は直立し、高さ80~130センチ。葉は長楕円状披針形から楕円状披針形となり、先は尖り、縁には鋸歯が見られる。クガイソウとほぼ同じく、葉柄はなく、数段に輪生してつく。
花期は7~8月で、茎頂に穂状の総状花序を出し、淡青紫色の花を密につける。花冠は長さが数ミリの筒状で、先が4裂し、雄しべ2個と糸状の雌しべの花柱1個が花冠より長く伸び出す。花は下から順次咲き、結実する。クガイソウとの違いは、花序軸が無毛であることと、葉の幅がこころなしか広いこと。
[分布] 日本の固有種。本州の紀伊半島、中国地方、四国、九州。
[県内分布] 上北山村と天川村の大峰山脈稜線部。
[記事] 大和(奈良県域)では自生地も個体数も極めて少なく、奈良県のレッドデータブックは「シカによる被食も危険要因の1つである」としている。なお、本種もクガイソウ同様、食用や薬用に用いる。薬としては根茎を利尿、リュウマチ、関節炎等に用いる。
写真は岩場の草地で花を咲かせるナンゴククガイソウ(左・大峰山脈高所)と虫媒花らしく花にアサギマダラやシロチョウ、ハナバチの仲間が来ていた(右・無毛の花序軸が見える)。
万物は
如何なるものも
みな
何らかの役目をもって
存在している