<3708> 奈良県のレッドデータブックの花たち(189) ドクゼリ(毒芹) セリ科
[別名] オオゼリ(大芹)
[学名] Cicuta virosa
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種
[特徴] 池沼の水辺などに生える草丈が1メートルほどになる多年草で、緑色を帯びた竹の根のような地下茎を水中に有する。葉は2回羽状複葉で、小葉は長さが2センチほどの披針形。花期は6~8月で、茎頂や枝先に複散形花序を出し、白色の小さな5弁花を多数放射状につける。
全草に痙攣毒のシクトキシンやムクトキシンが含まれ、トリカブト、ドクウツギ、ハシリドコロなどとともに野生する有毒植物の筆頭格。昔から摘み草として食用にされて来たセリと同じような場所に生え、春先の若芽のころよく似るので、間違えられ中毒死するものも見られた。ことに根茎は毒性が強いので要注意である。
[分布] 全国各地。国外ではユーラシア大陸一帯。
[県内分布] 奈良市(三重県境)。
[記事] 分布は全国的であるが、大和(奈良県域)においては奈良市の1箇所のみで、個体数も少ないとされている。写真は三重県境の三重県側で撮影したものであるが、自然環境の良好な山間の小さな溜池の縁に群落を成して生え、花を咲かせていた。厳密には奈良県のものではないが、県境一帯の環境下、毒草でもあり、採り上げた。
ドクゼリ(毒芹)はなぜ毒を有しているのだろう
その答えはドクゼリ自身に聞かないではわからない
この世の中にはこうした謎めくものが多くうかがえる