大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年03月01日 | 植物

<3695> 奈良県のレッドデータブックの花たち(184) テイショウソウ(禎祥草)                  キク科

                     

[学名] Ainsliaea cordifolia var. cordifolia

[奈良県のカテゴリー]    希少種

[特徴] 山地の木陰などに生える多年草で、針金のような紫褐色の茎が枝を分けることなく高さ30~60センチほどに直立する。葉は長さが10センチ前後の卵状鉾形で、柄を有し、茎の下部に4~5個が集まりつき、根生葉のように見える。葉の表面に白い紋様の入るものが多く、裏面は紫褐色を帯びる。

 花期は9~11月で、直径2センチほどの頭花が茎の上部に連なるように総状につく。白い花冠の3個の小花が集まって、1つの頭花を形づくる。小花は5深裂するので、花弁が15個の花に見える。雌しべ3個は花冠の外に突き出る。実は痩果で、冠毛によって運ばれるようになっている。

[分布] 日本の固有種。本州(千葉、静岡、三重、奈良、大阪、和歌山)。四国(香川、徳島、高知)。

[県内分布] ほぼ全域の暖温帯域の林床。奈良盆地周辺の青垣の山々ほか。

[記事] 和名のテイショウソウは漢字表記で禎祥草。禎祥はめでたいしるしの意で、キチジョウソウ(吉祥草)と同じ瑞祥植物の感がうかがえるが、その名の由来についてはよくわかっていないようである。大和地方(奈良県域)には自生地は多いものの個体数が少ない。写真はテイショウソウの全体の姿(左)、連なる花のアップ(中)、冠毛時(右)。

   生きものは

         生きること自体に

         リスクを負って

         生きている