<3695> 奈良県のレッドデータブックの花たち(184) テイショウソウ(禎祥草) キク科
[学名] Ainsliaea cordifolia var. cordifolia
[奈良県のカテゴリー] 希少種
[特徴] 山地の木陰などに生える多年草で、針金のような紫褐色の茎が枝を分けることなく高さ30~60センチほどに直立する。葉は長さが10センチ前後の卵状鉾形で、柄を有し、茎の下部に4~5個が集まりつき、根生葉のように見える。葉の表面に白い紋様の入るものが多く、裏面は紫褐色を帯びる。
花期は9~11月で、直径2センチほどの頭花が茎の上部に連なるように総状につく。白い花冠の3個の小花が集まって、1つの頭花を形づくる。小花は5深裂するので、花弁が15個の花に見える。雌しべ3個は花冠の外に突き出る。実は痩果で、冠毛によって運ばれるようになっている。
[分布] 日本の固有種。本州(千葉、静岡、三重、奈良、大阪、和歌山)。四国(香川、徳島、高知)。
[県内分布] ほぼ全域の暖温帯域の林床。奈良盆地周辺の青垣の山々ほか。
[記事] 和名のテイショウソウは漢字表記で禎祥草。禎祥はめでたいしるしの意で、キチジョウソウ(吉祥草)と同じ瑞祥植物の感がうかがえるが、その名の由来についてはよくわかっていないようである。大和地方(奈良県域)には自生地は多いものの個体数が少ない。写真はテイショウソウの全体の姿(左)、連なる花のアップ(中)、冠毛時(右)。
生きものは
生きること自体に
リスクを負って
生きている