<1286> お水取りの修二会満行
つつがなく 満行迎へし お水取り 奈良はいよいよ 盛りの春へ
三月一日から行なわれていた東大寺二月堂の修二会本行のお水取りが十五日未明に満行を迎える。十四日の夜は大松明の運行が最後ということで、多くの見物衆が集まった。この修二会は本尊の十一面観世音菩薩に二月堂下の閼伽井屋の若狭井から汲み上げた御香水(聖水)を十一面観世音菩薩に供え、天下太平、五穀豊穣、万民安泰等を祈願する悔過法要である。天平勝宝四年(七五二年)に始まり、欠くことなく行なわれ、今に続いていると言われる。選ばれた練行衆と呼ばれる十一人の僧が籠り、二月二十日から始められる前行(別火・べっか)を含め、二十四日間に及ぶ長期の法会で、奈良に春を呼ぶ恒例の行事として親しまれている。
最終日の十四日、大和地方は朝方雨で、午後になって天気が回復に向かい、夕方にはすっかり晴れ上がって、日が落ちると急に寒くなった。この日のお松明は前日までと違い、午後六時半から十一本の大松明が揃って二月堂の舞台に上がり、廻廊に並んで勾欄から一斉に突き出し、振り回わされと、大松明は激しく火の粉を撒き散らし十分ほどで終わった。火の粉が舞い落ちると観衆から歓声があがり、お松明が終了すると拍手が起きた。 お水取りが終われば、奈良はいよいよ春本番である。 写真は二月堂の舞台上で一列に並んで燃え上がるお水取り最終日のお松明。