麻生太郎大臣が「コロナが収束した」と発言したと話題になっています。確認してみましたが、やはり違いました。(今回は、なぜか麻生発言の映像もなかなか出回っていなくて検証に苦労しましたが。)
映像を見てみると、あくまでも、菅総理の総裁選不出馬の分析としてのコメントとして、次のように語っただけです。つまり、「コロナ対策に一定の成果を出し全うしたと、菅総理がお思いになって不出馬という判断をした」と語っているだけです。
麻生大臣「甚だ 自分(菅総理)としてはご不満な ところもあって、効果もなかなかというところもありましたけれど、曲がりなりに収束して、 国際社会の中での評価は極めて高いと 思いますので、そういった意味では、私は 、あの~、判断として、俺は全うしたという思いが おありになったことは確かだと思いますから、私はそこの部分が一番大きかったんじゃないかなと思っちゃいるんですけどね。」
というように語っています。「曲がりなりに収束して」というのは、G7の中での新規死亡者数が、0.12%と圧倒的に少ないことから見れば、国際社会の中では、そう捉えられるというのは当たり前だと思います。勿論、個別の感染者の問題は大変なことで有り、深刻な問題であることは当然ですが、そこを語っている文脈ではありません。(以下にデータを示しておきます。)
しかも、「効果もなかなかというところもありましたけれど」というくだりは、「効果もなかなか(思うようには)出なかった」という意味ですから、手放しで「収束した」という意味でないことは読み取れます。さらに「曲がりなりに収束して」とは、おおよその客観情勢を述べたものと読み取れます。
ちなみに、「曲がりなりにも」の意味は、「不完全ながら」「十分とまでは行かないが」「どうにかこうにか」という意味です。
また、インタビューのその前のところで、麻生大臣は、「昨日終わったオリンピック・パラリンピックの話にしても マスコミは総じて反対だったんじゃないかね~。国が全体としてオリンピック・パラリンピックをまとめるという雰囲気を著しく阻害したことは確かだよね~。そういった中で、きちんとまとめられたっていうのは、これ、いろんな意味で、経済、消費等々には効果があったと思っているんですけど・・・。」と話していますから、マスコミの意趣返しであることは想像に難くありません。
G7 直近1週間の10万人あたりの新規感染者
アメリカ 290.25人、イギリス 306.44人、フランス 246.75人、イタリア 71.84人、ドイツ 39.23人、カナダ 38.31人、日本 92.22人
感染力が強いデルタ株のまん延により、日本では危機的な状況が続いており、欧米の多くの国も、感染再拡大の傾向が見られる米国をはじめ、警戒すべき水準にあるといえる。
一方で、新規感染者のうちどれくらいの数の方々が亡くなられているか、すなわち「新規感染者数に対する新規死亡者数の割合」に着目してみると、G7を始めとする主要国との比較においては、日本は低い水準に抑えられている。 G7新規感染者数(直近1週間)における新規死亡者数(直近1週間)の割合
アメリカ 0.49%、イギリス 0.32%、フランス 0.33%、イタリア 0.55%、ドイツ 0.29%、
カナダ 0.25%、日本 0.12%
ワクチン接種が世界でも最速で進んだといわれるイスラエルで0.29%と、日本の倍以上の数値を示している。またG20各国を見ても、日本より高い数値となっている。
ロシア 3.77%、インド 1.35%、韓国 0.35%、インドネシア 5.41%、トルコ 0.72%
出典 FNNプライムオンライン2021年8月20日 金曜 午前11:40
こうしたマスコミの誘導に乗せられて、批判をしまくる人が多いのが、コメントを見ているとよくわかります。メディアリテラシー教育というよりも、国語教育が必要なのかもしれません。よく読みもしないのか、検証せず鵜呑みにしているのか、ちゃんと読めないのか。いずれにしても、麻生大臣の発言よりも、こっちの方が日本の将来にとって深刻な問題だと思います。