明日明後日は、2日間連続の企業研修です。企業は利益を生み出さなければ成り立ちません。国内での競争、国際間の競争にも打ち勝って行かなければなりません。そのための力が求められています。
その力とは何か。渋沢栄一は、義理合一、義理両全ということを提唱しました。資本主義において、利潤だけを追求すれば、人間の欲望を剥き出しにした、弱肉強食の世界になりかねないからです。
そこで渋沢栄一は、資本主義に道徳的考え方、「義」を注入しようと考えます。これが、前述した、「義理合一」「義理両全」ということです。組織の意志というものも、結局は、個々の人間の在り方に由来しているわけですから、人間を育てなければなりません。
稀代の美食家・芸術家である北大路魯山人は、まず人間を育てる事の大切さを、次のように語っています。「人間が創作する以上、人間が入用である。人間なくしては出来ない相談である。陶器を作る前に先ず人間を作ることである。名品は名人から生まれる。しかるべき人間を作らずに、無暗に仕事にかかる如きは、愚劣極まることだと知ってよい。下らない人間は下らない仕事をする。立派な人間は立派な仕事をする。これは確定的である。要は人間を作り上げ、次に仕事を要求することである。人間を作ることは、言わば作品の成果を得る基礎工事だと知れ。」(昭和29年4月 ニューヨーク州立アルフレッド工芸大学での講演)
魯山人は、芸術作品を生み出す作家の人間性の大切さを、強烈な表現で指摘しましたが、これは、あらゆる仕事でも同じことだろうと思います。
また、子どもたちの教育も、企業での社員教育も、日本の未来を担う人材を育てなければならないということに、何一つ変わりはありません。
身の引き締まるような思いで、日々の教育実践にあたりたいと思います。教育というものは、本来、未来への責任を負う、厳しいものだと思うからです。
「教育は国家百年の計」という言葉を死語にせぬよう、未来を考え抜いて教育にあたりたいものです。