『マッキンゼーのエリートはノートに何を書いているのか』より プロフェッショナル・ノートの流儀
自分の頭の中にある知識や思考を誰かのために使う=問題解決をする目的で、ノートを使ってアウトプットをすることが、マッキンゼー流のノート術だということは理解していただけたと思います。
そのときに何を心がけてノートを使っていけばいいのでしょうか。
ノート術で大事なのは、次の3つの心構えです。
1 仮説を考えながらノートを取る
すべては仮説から始まる、というのが問題解決の大前提です。仮説とは、問題解決をするときの「問題」に対する「仮の答え」です。
ただし、仮の答えといっても、思いつきのようなフワッとしたものでは意味がありません。マッキンゼーでいう「仮説=‥仮の答え」とは「こうすれば、このような理由で、こうなるだろう」という論理的な見通しの立つものです。
なぜ、そのような「仮説」を立てることが大前提になるのでしょうか。
たとえば、自社の売り上げ不振の問題を解決したいときに、何の仮説も立てずに情報収集や分析をすると、どこまで何を調べれば「真の問題」を見つけることができ、その問題解決の鍵となる「イシュー(もっとも重要な課題)」につながるのか、なかなか見えてきません。
情報は調べようと思えば、どこまでも調べられるし、問題もあげていこうと思えばいくつでもあげることができてしまいます。
そうなってしまうと、時間の無駄ですし、なかなか問題解決ができないことでモチベーションが下がったり、やっと解決の糸口が見つかったと思っても、解決策(打ち手)のクオリティが低くなってしまいます。
そこで必要になるのが「仮説」です。何か「真の問題」なのかを発見するときも、問題解決の鍵となる「イシュー(もっとも重要な課題)」を探すときも、どちらも「仮説」を立てることから入っていくのです。
たとえば、あなたが「毎日、1時間ウォーキングをしよう」と決めたのに、続けられないという問題を抱えていたとしましょう。
ウォーキングそのものは「健康のため」「体形を維持するため」によいことなので、自分でも続けたいと思っています。なのに続けられないのは、どこに「問題」があるのでしょうか。それを探るのが「問題発見のための仮説」です。
問題発見のための仮説
・ウォーキングのコースに問題がある
・ウォーキングの歩き方に問題がある
・ウォーキングをする時間帯に問題がある
他にもいくつかあるかもしれませんが、仮説を立てるときには、これまでのリサーチや集めた情報から可能性の高そうな仮説に絞って考えます。そのうえで、検証を行ってみて、もっとも有力な仮説の「当たり」をつけるのです。
この場合なら、ウォーキングのコースは気に入っているし、歩き方はとくに体に負担もなさそうなので、「ウォーキングをする時間帯に問題がある」という仮説がいちばん有力だったとします。
ここでは、あなたが思いつく「ウォーキングを続けられない要因」の中から、そもそもどこに真の問題があるのかという「問題の在りか(Where)」を特定することがポイントになります。
ウォーキングの時間を検証すると、夜に帰宅後1時間という設定をしていたのですが、仕事の都合で、どうしても帰りが遅くなったときは疲れているので、ついウォーキングをサボってしまったり、実行してもなんとなく気分が乗らないことが多かったのです。
そうすると、「ウォーキングをする時間帯に問題がある」という問題に対して、何をすれば「問題解決」につながるのかを考えることができます。つまり、より課題解決策につながる本質的な仮説に進むわけです。
この場合なら「ウォーキングをする時間帯を見直すこと」がウォーキング継続の鍵となるイシュー(もっとも重要な課題)を探すための仮説です。
「夜は疲れているので、朝の出勤前のウォーキングにすれば必ず時開か確保できるのでは?」「電車に乗らずに通勤そのものをウォーキングにしてしまうといいのでは?」といった、問題の本質から外れない仮説を立てることができれば、問題解決に大きく弾みがつきます。
このように「問題解決のためのノート術」では、常に仮説を意識することが重要な要素だと覚えておきましょう。
2 アウトプット志向
問題解決のためにノートに何かを書いていくという行為は、ノートに書くことがゴールではありません。
何らかのエンドプロダクト(最終成果物)をつくるというゴールに向けて、アウトプットを意識して行うのが「問題解決のためのノート術」です。
マッキンゼーでは常に、最終的にクライアントに何を提案するのか、つまりエンドプロダクトというアウトプットを意識して仕事をすることを徹底させられてきました。だからこそ、ノートの使い方もアウトプット志向になるのです。
アウトプットというのは、自分以外の第三者(上司や協カメンバー、あるいはクライアントなど)に対して、プレゼンテーションや問いかけ、報告などを行うこと。つまり、自分のために行うインプットとは逆のベクトルを持つ行為です。
一般的なノート術では、ノートを取る行為は自分の記録や情報整理のために行うことが多いと思います。それらも大切なのですが、マッキンゼー流のノート術では、ノートを取る行為の先にある「第三者へのアウトプット」という目的を常に意識してほしいのです。
3 ストーリーラインで考える
マッキンゼー流のノート術の特徴は、すでに起こった過去の記録ではなく、問題を解決すること、つまり、未来をよくするための「プロアクティブ」なノートというところにもあります。
それは、常にさまざまな要素がノート上で活性化している「生きたノート」だということです。生きたノートというのは、言い換えると時開か止まったノートではなく、常にライブで現在進行形のノートだということ。
こんな問題を解決したい、こんなことが実現できればいいな、という「未来」のことに対して「これをこうすればできるのでは?」という可能性がノートの中で生まれてくるのが「生きたノート」です。
「生きたノート」をさらに言い換えると「ストーリーライン」で思考できているノートです。
限られた時間の中で問題解決に向けて突き進むために、ノートの中でも問題解決の基本プロセスに沿った「ストーリーライン」で考えることはとても重要です。
ストーリーラインで考えるというのは、二鄙分だけを見て物事を考えるのではなく、全体像をつかんだうえで、物事が置かれている状況を見て、それからその物事がどう変化していくのか、その「流れ」を考えること。
問題解決の基本プロセスである《問題設定とイシューを決める⇒課題を整理して構造化する⇒現場の情報をリサーチする⇒解決策(打ち手)の仮説を立てる⇒仮説を検証する⇒解決策を決める⇒解決策を実行する》というストーリ圭ツインに沿って、ノートを使い分けながらゴールに向かっていきます。
つまり、ノートそのものが問題解決のストーリーが描かれた脚本になっていることが大切なのです。
自分の頭の中にある知識や思考を誰かのために使う=問題解決をする目的で、ノートを使ってアウトプットをすることが、マッキンゼー流のノート術だということは理解していただけたと思います。
そのときに何を心がけてノートを使っていけばいいのでしょうか。
ノート術で大事なのは、次の3つの心構えです。
1 仮説を考えながらノートを取る
すべては仮説から始まる、というのが問題解決の大前提です。仮説とは、問題解決をするときの「問題」に対する「仮の答え」です。
ただし、仮の答えといっても、思いつきのようなフワッとしたものでは意味がありません。マッキンゼーでいう「仮説=‥仮の答え」とは「こうすれば、このような理由で、こうなるだろう」という論理的な見通しの立つものです。
なぜ、そのような「仮説」を立てることが大前提になるのでしょうか。
たとえば、自社の売り上げ不振の問題を解決したいときに、何の仮説も立てずに情報収集や分析をすると、どこまで何を調べれば「真の問題」を見つけることができ、その問題解決の鍵となる「イシュー(もっとも重要な課題)」につながるのか、なかなか見えてきません。
情報は調べようと思えば、どこまでも調べられるし、問題もあげていこうと思えばいくつでもあげることができてしまいます。
そうなってしまうと、時間の無駄ですし、なかなか問題解決ができないことでモチベーションが下がったり、やっと解決の糸口が見つかったと思っても、解決策(打ち手)のクオリティが低くなってしまいます。
そこで必要になるのが「仮説」です。何か「真の問題」なのかを発見するときも、問題解決の鍵となる「イシュー(もっとも重要な課題)」を探すときも、どちらも「仮説」を立てることから入っていくのです。
たとえば、あなたが「毎日、1時間ウォーキングをしよう」と決めたのに、続けられないという問題を抱えていたとしましょう。
ウォーキングそのものは「健康のため」「体形を維持するため」によいことなので、自分でも続けたいと思っています。なのに続けられないのは、どこに「問題」があるのでしょうか。それを探るのが「問題発見のための仮説」です。
問題発見のための仮説
・ウォーキングのコースに問題がある
・ウォーキングの歩き方に問題がある
・ウォーキングをする時間帯に問題がある
他にもいくつかあるかもしれませんが、仮説を立てるときには、これまでのリサーチや集めた情報から可能性の高そうな仮説に絞って考えます。そのうえで、検証を行ってみて、もっとも有力な仮説の「当たり」をつけるのです。
この場合なら、ウォーキングのコースは気に入っているし、歩き方はとくに体に負担もなさそうなので、「ウォーキングをする時間帯に問題がある」という仮説がいちばん有力だったとします。
ここでは、あなたが思いつく「ウォーキングを続けられない要因」の中から、そもそもどこに真の問題があるのかという「問題の在りか(Where)」を特定することがポイントになります。
ウォーキングの時間を検証すると、夜に帰宅後1時間という設定をしていたのですが、仕事の都合で、どうしても帰りが遅くなったときは疲れているので、ついウォーキングをサボってしまったり、実行してもなんとなく気分が乗らないことが多かったのです。
そうすると、「ウォーキングをする時間帯に問題がある」という問題に対して、何をすれば「問題解決」につながるのかを考えることができます。つまり、より課題解決策につながる本質的な仮説に進むわけです。
この場合なら「ウォーキングをする時間帯を見直すこと」がウォーキング継続の鍵となるイシュー(もっとも重要な課題)を探すための仮説です。
「夜は疲れているので、朝の出勤前のウォーキングにすれば必ず時開か確保できるのでは?」「電車に乗らずに通勤そのものをウォーキングにしてしまうといいのでは?」といった、問題の本質から外れない仮説を立てることができれば、問題解決に大きく弾みがつきます。
このように「問題解決のためのノート術」では、常に仮説を意識することが重要な要素だと覚えておきましょう。
2 アウトプット志向
問題解決のためにノートに何かを書いていくという行為は、ノートに書くことがゴールではありません。
何らかのエンドプロダクト(最終成果物)をつくるというゴールに向けて、アウトプットを意識して行うのが「問題解決のためのノート術」です。
マッキンゼーでは常に、最終的にクライアントに何を提案するのか、つまりエンドプロダクトというアウトプットを意識して仕事をすることを徹底させられてきました。だからこそ、ノートの使い方もアウトプット志向になるのです。
アウトプットというのは、自分以外の第三者(上司や協カメンバー、あるいはクライアントなど)に対して、プレゼンテーションや問いかけ、報告などを行うこと。つまり、自分のために行うインプットとは逆のベクトルを持つ行為です。
一般的なノート術では、ノートを取る行為は自分の記録や情報整理のために行うことが多いと思います。それらも大切なのですが、マッキンゼー流のノート術では、ノートを取る行為の先にある「第三者へのアウトプット」という目的を常に意識してほしいのです。
3 ストーリーラインで考える
マッキンゼー流のノート術の特徴は、すでに起こった過去の記録ではなく、問題を解決すること、つまり、未来をよくするための「プロアクティブ」なノートというところにもあります。
それは、常にさまざまな要素がノート上で活性化している「生きたノート」だということです。生きたノートというのは、言い換えると時開か止まったノートではなく、常にライブで現在進行形のノートだということ。
こんな問題を解決したい、こんなことが実現できればいいな、という「未来」のことに対して「これをこうすればできるのでは?」という可能性がノートの中で生まれてくるのが「生きたノート」です。
「生きたノート」をさらに言い換えると「ストーリーライン」で思考できているノートです。
限られた時間の中で問題解決に向けて突き進むために、ノートの中でも問題解決の基本プロセスに沿った「ストーリーライン」で考えることはとても重要です。
ストーリーラインで考えるというのは、二鄙分だけを見て物事を考えるのではなく、全体像をつかんだうえで、物事が置かれている状況を見て、それからその物事がどう変化していくのか、その「流れ」を考えること。
問題解決の基本プロセスである《問題設定とイシューを決める⇒課題を整理して構造化する⇒現場の情報をリサーチする⇒解決策(打ち手)の仮説を立てる⇒仮説を検証する⇒解決策を決める⇒解決策を実行する》というストーリ圭ツインに沿って、ノートを使い分けながらゴールに向かっていきます。
つまり、ノートそのものが問題解決のストーリーが描かれた脚本になっていることが大切なのです。