霜後桃源記  

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飼料用米の不思議 その一

2019-03-28 04:07:41 | 

大きな圃場で米を作っている農業者と、個人的に話す機会があった。

作付面積の半分は飼料用米で、「反当り135千円の補助金を受け取っている」という。
主食用米の収入は、「反当り10万円に届かない」とのことなので、一関市と平泉町で、一千町歩近い飼料用米が作付け
されていることの合点がいった。
 
減反政策が終了しても、生産過剰気味の米の価格が下がらないのは、米作農家が過大な補助金が入る飼料用米にシフトして
いることが大きく影響している。

「『自由化』牛肉は成長、『守った』コメは衰退、矛盾だらけの農政」と先日紹介した週刊ダイヤモンドの記事のタイトル
にもなっていたが、その「矛盾だらけ農政」が飼料用米でも維持されているようだ。

また、一年前にNHKが「米価と飼料用米の問題点」について取り上げていたが、その後は沈黙を守っている。
NHKの「政権寄りの報道」が話題になっているが、飼料用米も「その一つかも?」と勘ぐったりもしている。


(種蒔きに備え、水に浸している種籾)

なお、「日本の畜産の将来を考える会」のHPに、傾聴に値するコラムが掲載されていたので参考に資したい。

「飼料用米について思うこと」

私は、農業や飼料に直接的に関与していない一般の消費者ですが、平成27年3月末に閣議決定された新たな「食料・農業・農村基本計画」の
策定に、審議会委員としてかかわってきました。この基本計画には、飼料用米の大幅な生産拡大が明記されました。

飼料用米は、主食用米からの作付転換は比較的容易だと認識しています。日本の畜産業にとって、国産飼料生産が増えることはコストパフォ
ーマンスが良ければ良いことだろうし、国産志向の消費者のためになるだろうと思いました。後で知ったことですが、食用米から飼料用米への
作付転換は比較的容易だけど、その逆は困難らしいとのことです。

飼料用米の制度の中で一番の疑問点は、補助金なしにはこの仕組みが成り立たないということが最初から明白であるにもかかわらず、なぜそこ
までして進めなくてはいけないのかということでした。
いろいろな理由があったと思いますが、今、思い返すと明確な答えが思い浮かんできません。

審議会の中でも飼料米の農家や畜産農家から「補助金はいつまで続くのですか」「本当に国を信用していいのでしょうか」と不安視している声を
多々聞きました。
そのたびに、官僚のお答えは、「大丈夫です。ちゃんとやりますから」というものでした。
私にはそれ以上の切り込みは残念ながらできませんでした。
そうでなくても、過保護とか、補助金頼みの農業といわれ続けている日本の農業に、新手の補助金制度が導入されました。

今更ですが、この飼料用米制度は本当に日本の農業に役立つのでしょうか。
補助金は、国民の税金で賄われるのですから、今後も莫大な補助金を必要とするデメリットとメリットについて、もっと知っておくべきでした。
すでに退任していて発言の機会はありませんが、補助金に依存しないで継続できる農業・事業への転換の道筋を検討し、示すことが必要なのでは
ないかと思うこの頃です。

コメント (2)
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