shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Isabelle Aubret

2008-11-17 | World Music
 大阪難波に EAST というレコード屋さんがある。ご主人の佐藤さんはとても温厚な方で足繁く通ううちに仲良くなり、「こんなん入ったけど気に入るんとちゃう?」と私の嗜好に合うレコードを色々と教えて下さるようになった。そんな1枚がこの盤で、Isabelle Aubret と書いてイザベル・オーブレと読む。フランス人の歌手である。実は EAST はその筋では結構有名で、あの小西康陽がわざわざ東京からネタを仕入れにくるほどのお店らしい。世間ではこの手の音楽を「オルガンバー / サバービア」というらしく、この盤もフロア受けしそうなDJネタが満載だ。常日頃シャンソンもボサノヴァも、ましてやサバービアも(笑)殆ど縁が無い私ですら、これを初めて聴いた時はそのあまりのカッコ良さにぶっ飛んでしまった(>_<)
 A面はブラジリアン・ボッサ・スタンダードのフレンチ・カヴァーでB面がフレンチ・オリジナルっぽい構成になっているのだが、聞き物は何といってもA面である。エドゥ・ロボの①「カザ・フォルテ」からいきなりフレンチ・テイスト全開で、彼女のクールなスキャットがたまらない。クラブやカフェで受けるのもわかる気がする。カルロス・ジョビンの②「フェリシダージ」、イントロからしてもう名演のオーラを放っており、包み込むような彼女のしっとりしたヴォーカルが滑り込んできたところで完全にKOされる。これ以上の名演があったら教えて欲しいくらいだ(≧▽≦) ジョルジ・ベンの③「マシュ・ケ・ナダ」、何とファンキーなノリだろう!とてもフランス人とは思えない。歌に絡むピアノもめちゃくちゃカッコ良くてスリリング。ルイス・ボンファの④「黒いオルフェ」、これもイントロが流れてきただけで部屋中にえも言われぬ哀愁感が漂う。こんなに品格滴り落ちる「オルフェ」は他ではちょっと味わえない。
 フレンチ・サイドのB面では、シャンタル・ゴヤあたりが歌いそうな4曲目のParce Que が気に入っている。ブラジルのボサノヴァとフランスのシャンソンが音楽的・有機的・必然的に結びつき、それらがイザベル・オーブレのクールでありながらキュートでどこか温かみのあるヴォーカルで歌われる快感... それこそがこの盤の魅力なのだと思う。セルジュ・ゲーンズブールの黄金期を支えたジャズ・ピアニスト、アラン・ゴラゲールの洒落たアレンジが冴えわたるこのレコード、「フレンチ・ブラジリアンの金字塔」の名に恥じない大名盤だ。

フェリシダージ
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