shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Rosenberg Trio Live At The North Sea Jazz Festival

2008-11-06 | Gypsy Swing
私がマヌーシュ(ジプシー)・スウィングにハマってちょうど1年になるが、そのきっかけとなったのがこの盤である。カヴァー・ソング好きの私は好きな曲を色々な人の演奏で聴き比べて愉しむことが多く、その時も「ブルー・ボッサ」の知られざる名演を iTunes で探していて、偶然この Rosenberg Trio に出くわした。当然名前も知らない。「Trio ってピアノ・トリオかな?」と思いながらクリックすると、今まで聴いたことの無いようなスイング感溢れるギター演奏がスピーカーから飛び出してきた。あまりの素晴らしさに即HMVでオーダー。今まで色んな音楽を聴いてきたがまだまだこんな凄い演奏があるなんて!もう嬉しくってたまらない。まず①For Sephora、ストーケロ・ローゼンバーグのオリジナル曲だが、スタンダードソングも裸足で逃げ出すカッコ良さ。哀愁舞い散るメロディーに涙ちょちょぎれ、ザクザク刻むリズムギターに心が疼く。②Minor Swing、今ではすっかり耳に馴染んだマヌーシュ・スウィングの大スタンダードだが、当時はそんな知識もなく、①に続いてこれまたカッコエエ曲やなぁ、ギターも凄いなぁ、というマヌーシュ・ド素人(笑)だった。③のLes Yeux Noirs、「黒い瞳」はジャズやテケテケの演奏で知ってはいたが、この「瞳」はそれまで聴いたことのないようなもの凄い演奏で、ただただ圧倒されるばかり。これほどまでに高速なフレーズをミスタッチなく正確に弾きたおすなんて人間ワザとは思えない。ジャズでもロックでも、速弾きテクニックに走りすぎるとどうしても機械的で無機質な演奏に陥ってしまうことがよくあるのだが、このストーケロのギターは超高速でありながら歌心溢れるソロの連続で、もう凄いとしか言いようがない。この盤購入のきっかけとなった⑬Blue Bossaの他にも驚愕の「針飛び状態フレーズ」が聴ける④Chega De Saudade やラテンの情熱迸る⑫Armando's Rumba、ロマンチックな響きが印象的な⑮Les Feuilles Mortes(枯葉)など名曲名演が目白押しだが、この盤最大の聴き所は何といっても⑥のBossa Dorado。2分28秒丸ごと哀愁メロディーの塊のような大名曲を名手ストーケロがありとあらゆるテクニックを駆使して歌いまくっているのだ。もう「まいった」としか言いようがない。曲に酔い、いつの間にか演奏に酔いしれているという、10年に1度出会えるかどうかの大名演だ。とにかくこのアルバム、私にとって最初にして最高究極のマヌーシュ盤なのだが、このVerveのCDはカッティング・レベルが低く音がモコモコしてるので、私はCDレコーダーを使って自家製「ラウド・カット」盤を作り、そっちばかり聴いている。気分はすっかりルディ・ヴァンゲルダー(笑)だ。みなさんも一度お試しあれ。

Rosenberg Trio - For Sephora