shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Great American Songbook / Rod Stewart

2008-11-09 | Jazz Vocal
 ロッド・スチュワートはスーパー・ヴォーカリストである。70年代、ジェフ・ベック・グループからスモール・フェイセズを経てソロ・デビュー、「マギー・メイ」「セイリング」「ホット・レッグズ」「アイム・セクシー」と大ヒットを連発していった。今でもロッドといえばこの時期の「金髪美人にヒョウ柄タイツ」のイメージが強いが、私自身、91年のビルボード・チャート集計方式改悪以降、洋楽ロック・ポップスを聴かなくなったこともあって、ロッドの名を耳にすることもほとんどなくなった。ところが最近、ひょんなことからロッドと再会することになった。いつものように iTunes でスタンダード・ナンバーを試聴しまくってた時のこと、「今宵の君は」という曲のアーティスト欄にペギー・リーやスタン・ゲッツに混じってロッド・スチュワートの名前があったのだ。あのロッドが?まさか...ね。同名異人かな?でもこんな名前めったにないし...(笑) 恐る恐るクリックしてみると、そこには昔と変わらぬキツツキ・ヘアーでニッコリ微笑むロッドがいた(>_<) タイトルは「ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック」、つまり「ロッド・スチュワート、スタンダード・ソングを歌う」といういわゆる企画モノである。調べてみるとロッドのこのシリーズは第4集まで出ているらしい。ポップスの世界には落ち目になるとスタンダード・ナンバーの助けを借りて復活を目論む悪い風習がある。リンダ・ロンシュタット、オリビア・ニュートンジョン、シーナ・イーストンetc... しかし試聴したどの曲も凄~くエエ感じなのだ。これはひょっとすると掘り出し物かも... 早速アメリカのアマゾンで全4作を1つにまとめたCDボックスをオーダー、4枚組CD+ボーナスDVD付きで$12というバーゲン価格が嬉しい。1週間後に届いた全55曲を聴いて私は強く確信した。これは売らんがための企画盤なんかじゃないと。ロッドはこれら不滅のアメリカン・スタンダード・ナンバー1曲1曲を、ジャズも歌えるロックンローラーとしてではなく、一人のヴォーカリストとして慈しむように歌っている。心底これらの歌が好きなんだという気持ちがダイレクトに伝わってきて感動する。天性の渋い声も程よく枯れて円熟味を増し、歌詞の一言一言が心にしみ込んできてとっても心地良く、まるで古き良きアメリカにタイムスリップしたような錯覚に陥ってしまう。秋の夜長に小音量で聴くのにピッタリのロマンチックなアルバムだ。

Rod Stewart & Bette Midler - Manhattan