あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

3度目の四国遍路(前編)・高知その12

2010-06-16 23:34:54 | 3度目の四国遍路
 2010年3月11日(木)
 四国遍路前半第21日 
 =38番金剛福寺=

 5時50分起床、部屋から見える東の海の向こうが赤らむ。6時30分からの朝
食中、おかみさんが若い女性2人を日の出を見に、外に案内したので、つられて
外に出た。

 玄関を出て右手に回ると、海の上に上がったばかりの太陽が輝く。食事の部屋
に戻ったら新宿のKさんから、私の遍路記を欲しいとのことで、帰宅後送ることを
約束した。


 おかみさんから、おむすび、バナナ、せんべいとおつまみ、乳酸飲料、あめ数個、
味付け海苔、ゼリーなど袋にいっぱいのお接待を頂き、7時21分に久百々を後に
する。

 変化に富んだ昨日の天気とはうって変わり、風もなく海も穏やかで寒さも和らぐ。
宿を出て間もなく、国道321号を離れて右手の遍路道を進む。再び国道に戻る
あたりで、民宿いさりびに泊まった佐倉市のMさんが見え隠れし、大岐の浜に下
るところには市川市のHさんも居られて同行する。


 大岐の浜は、砂浜を1㎞以上歩くのだが、波打ち際に近い方が砂が締まってい
て歩きやすい。

 浜の最後の小さい流れは、昨日の雨でかなりの流量があり、岩伝いに渡ったが、
左足が少し水に浸かって濡れた。

 以布利の前後は遍路道を抜け、以布利港の先は、ペットボトルなど漂着物の多
い海岸から暖帯林に上がる。県道27号に入って再び、緩やかな傾斜ではぼ直線
に進む遍路道を抜けた。

 次のへんろ道の入口に、「2.1㎞で1時間、海沿いは30分」と表示されていた
ので、Mさんと海沿いの県道を進むことにする。

 その表示を見ているうちに、初めから県道を進むと決めていたらしいHさんは、
どんどん先行して、少しずつ離れていった。

 窪津漁港にあるカツオ加工工場は、今回も女性10数人が、蒸したカツオの頭
の処理をしていた。

 断って中に入ったら奥の方まで案内され、1日蒸したというメジカを並べた棚の
説明もしてくれて、醤油を用意して味見までさせていただく。おいしいのでMさん
は、それを1㎏(千円)分けたもらった。

 Mさんは、近くの大漁屋という水産物直売所にも寄り、何品か買って、冷凍パッ
クにして発送を依頼する。

 詰めたりするのに時間がかかりそうなので、ここで分かれて先行することにした。
遍路道に上がってふり返ると、窪津漁港の周辺が見下ろせる。


 窪津小付近からは、幅4mくらいの細い県道が続いていたはずだったが、拡幅
されたところが多く、カーブも緩やかに改良されていた。もとのままの急カーブの
ところの、遍路休憩所で小休止させてもらう。


 緩やかな坂を上りきった大谷の、青空市場の置き台に座らせてもらい、昼食と
する。久百々でお接待いただいた、混ぜご飯のおにぎりや、バナナ、乳酸飲料、
ゼリーなどを、ありがたくいただく。


 足摺岬まで2㎞標識の先からは、もとのままの1車線となり、ツバキのトンネル
を抜け、13時26分に38番金剛福寺に着いた。

 若い外人留学生と新宿のKさんが居られたが、ほかの歩き遍路は見えない。納
経所で「歩きですか」と聞かれ、携帯電話用のストラップをお接待いただいた。


 寺を出て、足摺岬展望台に上がって岬を見下ろしてから、先に向かう。交番が
あったので薬局の場所を聞き、すぐ近くの薬局で腰痛用湿布薬を購入したが、ほ
かの薬局で買ったものに比べて割高だった。

 高台に出て紺碧の海を見下ろし、暖かな日和を楽しみながら進む。


 ヘンロ小屋20号足摺で休んでいたら、車で来た男性が立ち寄り、この地臼碆
(うすばえ)は、日本の海岸で黒潮の接岸する唯一の場所であること、下の岩の
海蝕洞門に春秋の彼岸のときには、入り日が差し込む光景が見られる「トオルマ
の夕日」の場所であることなどを話してくれた。これも有難いお接待である。


 松尾郵便局の近くに、国の重要文化財、吉福家住宅の表示があったので立ち
寄り、拝見させてもらう(無料)。

 この場所は、前回までは気づかなかった。

 松尾小の手前では、カツオ節を詰める作業をしている。

 こういうのを見られるのも、土佐ならではのもの。歩き遍路でないと気づかないだ
ろう。

 海を見下ろす絶景の展望台、鵜ノ岬の手前に、今日の宿、民宿青岬への近道の
表示があった。鵜ノ岬の展望も捨てがたいが、今回は近道を進むことにした。

 林間を上がって行くと、民家が2軒あり、その一つの家の奥様から、自宅のハッ
サク2箇をお接待いただく。民宿青岬には、16時10分に着いた。

 3回目の宿泊だが、いつも通り清潔で気持ちよい部屋や風呂。さっそく入浴し、
その間に洗濯機に洗い物を入れる。

 夕食は18時から。とれたてという地元土佐清水のブリや、青岬の名物、イカの
姿焼きなど、盛りだくさんの料理を釜飯とともに、みな美味しくいただいた。

 今日の宿泊者は、甲府から来て遍路ではないが自転車で回っているという若い
男性、39番延光寺から自転車で来たという若い男性遍路、ほかにもう一人だった。

 遍路関係の資料を入れた大封筒が破れたので、おかみさんに使い古しの袋を2
ついただく。丸くなった手帳の鉛筆も、ご主人が削って下さった。おかみさんは、
いろいろな短歌を詠まれるなど、いろいろなことに興味を持っておられるが、今回
は、姓のことをしばらく話し込んだ。

 腰痛は幾分良くなったようで、今日は体の左傾化は無しで歩けた。明日の宿は、
前回同様に叶崎(かなえさき)までと思い、新しい宿に電話したら、電話が転送
されて同じ経営者という竜串(たつくし)の民宿に泊まれば、叶崎まで車で送ると
いうので、その民宿とさやに泊まることにする。

 お陰で明日は、20㎞足らずの行程で済む。

 【コースタイム】久百々7:21ー大岐の浜下り口8:05ー以布利の休憩所9:07~15
 ー県道347号分岐近くの休憩所9:54~10:00ー窪津のカツオ加工工場10:30~40
 ー大漁屋10:45~56ー無料宿泊所11:43~50ー大谷の青空市場(昼食)12:25~
 45ー38番金剛福寺13:26~50ー足摺岬展望台13:55~14:03ーヘンロ小屋20号
 足摺14:49~15:08ー吉福家住宅15:30~36ー民宿青岬16:10

 (天気 晴、距離 25㎞、歩行地 土佐清水市、歩数 40,700、遍路地図
 42-1、42-2図)
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