あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

新しくなった国土地理院の2万5千分の1地形図

2013-11-21 17:01:16 | 地図
 2013年11月1日から国土地理院の2万5千分の1地形図が、多色刷りによる新版
になり、まず10面が発売されました。

 今回発売された新しい地形図は、昨年からオンラインで提供を始めた「電子地形図25000」
と基本的には同じ内容の情報を印刷したもので、いままでの3色刷の地形図より詳細で新
鮮な内容にしたとのことです。

 それに加えて、これまでの3色に限定せず、多彩な色を使って地物を表現するとともに、
地形に陰影をつけて立体感を得やすくしているようです。

 ちなみに、11月1日に発売された新版は以下の10面です。。

 「鳥海山」「朝日岳」「飯豊山」「会津駒ヶ岳」「尾瀬ヶ原」「奥多摩湖」「丹波」
 「塩見岳」「明石岳」「上河内岳」

 何れも山岳地帯で、平野部がどのような表現になったのか、里道や田園地帯を主に歩い
ている私としては残念なところですが、その中の「奥多摩湖」を先日購入してみました。

 以下に、新版と旧版(平成8年(1996)10月発行)の、同じエリアを比べてみま
す。上が新しいもの、下が旧版です。





 新版での主な表現内容は、以下のようなものです。

 ○地形の概観が分かりやすいように、緑色の陰影を付けた。

 ○建物は、都市部での注記が見やすいよう、橙色にした(従来は黒)。

 ○高速道路は赤色に着色し、国道番号はおにぎり方にした(従来は茶色で、国道番号は
  カッコ書きになっている)(上の新刊の上部中央に、別の位置の国道番号付近を貼り
  付けてあります)。

 ○都道府県道は黄色に着色した(従来は色無し)。

 新旧の地図を比べてみると、確かに等高線のところに陰影が付いて、尾根や谷、急斜面
などが分かりやすくなったように思います。

 一方、建物が橙色なのは、従来の地形図の黒より認識しにくいように思われますが、注
記は読みやすくなりそうです。これは都市部の地形図が刊行されたときに、もう一度確認
して見る必要があるかもしれません。

 ほかに新刊で気付いたのは、鉄道の駅名が従来はひらがなで記されていたのが、漢字に
なり、読み方が分かりにくくなったこと。字名(あざな)などの文字が小さくなったこと
です。

 もう一つ、カントリーウオーカーとして残念なのが、田と畑、畑と針葉樹林といった植
生界が、従来の地形図では小さい点線で区切られていたのが、新刊では無くなったことで
す。

 例えば、田んぼと針葉樹林の間には、地図上にはないが歩けるあぜ道があるのではない
かと推測して現地に行くと、やはりあることが多かったのですが、それが新刊では、どの
辺りまでが田んぼで、どこから針葉樹林になるのかが分かりくくなり、こういう場所を探
して歩くのが少し難しくなりそうなことです。

 でも、このような境界まで、地形図用に撮った空中写真から地図に書き起こすのは難し
いかもしれず、人も予算も限られた中での地形図造りでは仕方ないのかもしれませんね。




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東京都心の三角点・水準点巡り

2013-05-15 21:08:51 | 地図
 2013年5月7日(火)

 連休明けも好天に恵まれた。先日解散した地図歩きグループのメンバーNさんと、東京
都心にある三角点と水準点巡りに出かけることにした。

 目的地は、「地図と愉しむ東京歴史散歩」(竹内正浩著、中公新書)の最初、「石垣に
刻まれた幻の水準点」に紹介された三角点や水準点を回ろうというものである。

 JR新橋駅に10時に集合して西口のSL広場を出て、最初に愛宕山に向かう。新橋4
丁目の日比谷通りに、「浅野内匠頭終焉之地」碑が立っていた。

 元禄14(1701)年3月14日、旧田村右京太夫屋敷跡で自刃したという。

 すぐ先で、道路工事中らしい広い空き地を横断する。同書にて「マッカーサー道路」と
記された環状2号線のようで、道路は地下に通すのだと帰宅後知る。


 愛宕通りに出て南にすぐで愛宕山の下に着いた。鳥居をくぐり「出世の階段」と呼ばれ
る男坂の階段を上がることにした。

 男坂は山上にある愛宕神社に向かって正面を上がる86段の急勾配の石段で、寛永年間
(1624~44)に間垣平九郎(まがきへいくろう)が馬で上下したと伝えられている。


 石段を上がった正面に愛宕神社の朱塗りの門があるが、参拝は後にして明治9(1876)
年以降に設置した日本最初の水準点といわれる「几号(きごう)水準点」を探す。


 水準点は、社殿手前右手の石碑の台座の隅に刻まれていた。石碑の文字は読みにくいが、
「愛宕神社起倒流拳法碑」らしい。



 地形図上には25.7mの三角点もあるので、その位置周辺を探したが見つからない。ち
ょうど来た近所の方が、「見たことがある」と探して教えてくれた。


 弁天池の横の大石の前に「三角点」の標石が立っていたが、三角点は鉄の蓋に覆われて
いて、開けてみることは出来なかった。


 二つの目的物を確認後、神社に参拝する。拝殿内部には奉納された大きな額が掲げられ、
そのひとつに間垣平九郎の絵もあった。


 境内には、「この石をなでて福を身につけて下さい」と記された招き石もあり、招福に
期待して私もなでる。


 南側にあるNHK放送博物館の観覧も予定していたが、連休開けの火曜日で休館してい
た。神社の背後から、山の北側を回る女坂を下って愛宕山を去る。

 愛宕通りを北に向かうと、すぐ先の交差点際にそば処「砂場」の古い木造建築が残って
いる。周辺はビルばかりなので目についた。


 外堀通りを横断して内幸町へ。経済産業省別館前に、「帝国議事堂跡」の説明板が立っ
ていた。

 明治23(1890)年11月に開催された、第1回帝国議会に合わせて仮議事堂とし
て木造で建設されたが、翌年1月には出火して全焼し、3年後に木造二階建ての議事堂が
再建されたという。

 次の目的地、日比谷公園に南西の西幸門(にしさいわいもん)から入る。園内には、二
つの水準点が残っているという。


 日比谷図書館の横から日比谷公会堂の東に回り、公園の南東端にある烏帽子岩の中央下
部の、草に覆われた几号水準点を確認した。




 烏帽子岩は江戸時代、江戸城外郭の市ヶ谷御門の石垣の中にあったが、道路拡張に伴い
石垣が取り壊され、ここに移したという。


 日比谷通りに沿った園路を北に向かう。第二花壇や大噴水を眺めながら進んで、公園の
東北にある心字池(しんじいけ)に回る。




 池の南端付近に南極の石が無造作に置かれていた。昭和基地から4㎞の、オングル島の
慎太郎山で採取した重さ150の片麻岩で、昭和41(1966)年4月にここに設置し
たとのこと。


 二つ目の几号水準点は、すぐ先の池畔にある「亀石」と呼ぶ平べったい石に刻まれてい
た。



 いずれも表示はなく、東京歴史散歩の本がなければ探せなかっただろう。


 日比谷公園の二つの水準点は見つかったので、少し早いが園内にある松本楼でのカレー
昼食とする。


 2階の宴会場「銀杏」でのカレービュッフエは11時半からのオープン。ちょうどオー
プンしたばかりなので空いていた。

 3種のカレー、スープ、料理、デザートなどがバイキング方式で飲食できる。窓の外の
新緑や窓辺の花などを眺めながら味わった。

 公園西側の霞門を出て、農林水産省や外務省の北側を進み、六本木通りから伸びる都道
412号に回る。


 国会議事堂を左上に見て国会前交差点を渡り、憲政記念館南側の公園に入った。

 公園の東南端に、地形図には記されてない1等水準点があった。そばに日本水準原点が
あるので、記されないのだろうか…。


 日本中の標高の基準となる水準原点は、少し上がったピークに近い、重厚な石造りの建
物にある。

 明治24(1891)年の設置当時は東京湾の平均海面から24.5mされたが、大正
12(1923)年の関東地震と一昨年3月の東北地方太平洋沖地震の地殻変動で、現在
の標高は24.39mに改正したという。

 標庫と呼ぶローマ神殿のような石造平屋の建物は、東京都有形文化財に指定されている。



 そばの広場には、憲政記念館建設時の昭和35(1980)年に完成した、高さ31.5
mの時計塔が立っている。



 東に見える丸の内のオフィスビルや皇居・桜田堀を眺めながら、国会前交差点に下る。
これから行く桜田門が工事中で、建物が覆われているのも望まれる。


 桜田門の皇居外苑側石垣にも、几号水準点が刻まれているようだが、そばに行ったらや
はり工事中の板塀に囲まれていて、探すことは出来なかった。

 門を入って皇居外苑に回り、二重橋前広場を通過する。付近には、西欧系らしい外国人
観光客が何組も見られた。



 巴櫓(ともえやぐら)↑を見ながら桔梗堀(ききょうぼり)の角を曲がり、大手門前に
行く。大手門から皇居東御苑に入って几号水準点を確かめる予定だったが、ここも連休後
の火曜日で閉園していた。

 今日の三角点、水準点めぐりは終えることにして東京駅に向かう。

 国道1号・日比谷通りから、東京駅丸の内口正面に通じる行幸通りに入り、復元された
東京駅を見る。


 南口方面に回り、旧東京中央郵便局を改築した「KITTE(きって)」と呼ぶ新しい
ビルに入った。6階まで吹き抜けの広場からエレベーターに乗って屋上に出る。



 眼下に東京駅丸の内南口が見下ろせ、東京駅の有楽町寄り線路や新幹線などのホームが
一望である。

 休日だが年配の人を中心に観光客が多く、昨日までの連休にはさらに賑わったものと思
われた。


 KITTEを出て東京駅丸の内南口に入り、大ドームを見上げる。


 松の植えられた中央口にも回ってカメラを構える。ここで解散することにして、14時
頃にNさんと分かれた。


 私は八重洲口に回って八重洲ブックセンターに行き、新しい地形図などを購入してから
帰路についた。

(天気 快晴、距離 8㎞、地図(1/2.5万) 東京首部、歩行地 港区、千代田区)




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送電線、国土地理院の電子国土基本図に復活へ

2012-04-01 14:58:20 | 地図
 3月28日(水)の朝日新聞東京本社版夕刊に、「送電線、地図に復活へ」というタイ
トルで、インターネットで公開している2万5千分の1の電子国土基本図図上で削除した
送電線線や記念碑などの表記を復活させるとの記事が掲載されました。



 送電線の位置情報については、電力会社に「テロの恐れ」などを理由に断られ、掲載し
なくなっていたのですが、「登山の際の目印として活用されている」との声が寄せられ、
改めて国土地理院が電力会社に提供を求め、再び拒否された場合は、紙の地図にあったデ
ータを使い、電子国土基本図でも見られるようにするとのことです。

 私たちもカントリーウオークでは、紙の地図(2万5千分の1地形図)を使用して、ウ
オーキングコースとして特に決められていないところを、自分たちで選んで歩いているの
で、送電線や記念碑、墓地などは、現在地を確認するとてもよい目印であり、そういうも
のが地図上から消えてしまうことに憂慮していたので、この復活は大歓迎です。

 ちなみに、数年前に歩くために購入した、ウオーキング大国であるイギリスやドイツの
地図を見ても、送電線は記入されていて、ウオーカーにとっても大切な目標として使われ
ているようです。

 イギリスHARVEY社のLONG DISTANCE ROUTE「COTSWOLD WAY」(2万5千分の1)
から(矢印のところが送電線)


 ドイツの5万分の1レジャー用地図「Ruhrgebiet(Ost)」から(矢印のところが送電線)


 それにしても、最近は国土地理院発行の2万5千分の1地形図の発行が少なく、私たち
がよく歩く首都圏周辺のように、新しい道路が増えたり住宅地の開発などで、駅周辺の様
子がかなり変わっているのに、変更されないままの地形図で判断しなくてはならない場所
がかなりあり、毎年改版をしている道路地図の方が最新の情報が盛り込まれていて、見比
べないと分からない情報が多くなりました。

 国土地理院では経費や人員の削減で、紙の地形図から電子国土基本図に主体に移してい
るようですが、電子基本図をダウンロードしても縮尺が正確に表現できないように思われ、
なかなか利用する気になれません。

 変化の多い首都圏などの、紙の地形図の更改を期待するのは難しいのでしょうか…。



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ヤマケイ山岳選書 『地形図の楽しい読み方』 発刊

2011-02-09 21:15:59 | 地図
 2011年2月9日(水)

 首都圏としては、この冬の初雪となった今朝の雪でしたが、わが所沢では、朝、
雨戸を開けたらチラチラしていましたが、間もなく薄日が差し始め、積雪とはなり
ませんでした。

 そこで午前中、いつものようにしないウオーキングに出かけました。小手指町に
回ったら、民家の庭先のしだれ梅が、ほぼ見頃となっていました。




 市内ウオーキングでは、ほとんど必要ありませんが、あちこちに出かけるウオーキ
ングの際、私にとって欠かせないものが、国土地理院発行の地形図です。

 毎月のように参加しているカントリーウオークグループの例会や、カタツムリ歩行の
例会、関東百駅巡礼歩行、春秋の国際ウオーキングトレイル実踏をはじめ、これまで
報告している四国遍路や熊野古道、中山道ウオークなど、さらに奈良や京都の市内
の寺社巡りを含め、私が訪ね歩くときには、いつもは2万5千分の1を、四国遍路で
は5万分の1地形図をコピーして持って行きます。

 地形図さえあれば、どこでも歩けるということになり、以前訪ねたイギリスや、ドイツ
でも、言葉が分からなくても、地形図を片手にその土地を巡ることができました。

 そんなわけで、自分で購入した地形図も増え続けていて、今日数えてみたら、2万
5千分の1地形図が500面、5万分の1地形図が92面になっていました。

 日本全体では、2万5千分の1地形図が4,336面、5万分の1が1,291面なので、
私は、2万5千分の1の11.5%を、5万分の1の7%を持っていることになります。

 ウオーキングの際の地形図は、私にとって必携品なので、これからも増え続けて行
くものと思われます。

 地形図は、2万5千分の1図が270円、5万分の1図が290円という値段ですが、
1枚に盛り込まれた情報は大変なもので、1枚でたくさん楽しめる、貴重な資料です。

 ところで、普段地形図を読み慣れていない方には、地形図はわかりにくい、難しい
ものという意識があるかもしれません。

 限られた紙面に、一定のエリアの幅広い情報を盛り込むのですから、省略したり、
記号化したり、本当の位置より少しずらして表現しなくてはならないものもあります。

 そんな地形図の読み方を理解して、より楽しく地形図を使えるようにと企画された
本が、最近発売されました。

 ハイカーにはおなじみの、山と渓谷社の新書版、ヤマケイ山岳選書の『地形図の
楽しい読み方』です。



 著者の今尾恵介さんは、「地図を愛読書としている」といわれるほどの地図愛好家
で、地図に関する著書をたくさん刊行され、私も何冊も購入しています。

 本書では、地形図の魅力を引き出すために、地形図がつくり出す小宇宙、地形図の
表現法、地形図上に広がる不思議な世界、地形図にまつわるよもやま話といった章に
分け、ご自身のスケッチ図や写真、地形図の例などを豊富に盛り込んで、分かりやす
く、また興味深い話がたくさん盛り込まれています。

 地形図のことをもっと理解したい、地形図を使って迷わずに歩きたい、地形図の楽し
み方を知りたい、といった方に、ご一読をおすすめします。

 (今尾恵介著、新書版206頁、山と渓谷社発行、本体952円) 
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新しい地図の本『地図の科学』発刊

2010-10-22 21:25:21 | 地図
 当ブログのブックマーク欄「おもしろ地図と測量」の主、山岡光治(やまおかみつ
はる)さんが、このほど新刊 『地図の科学』 を出版されました。


 
 山岡さんは、国土地理院で40年近くにわたり、2万5千分の1地形図など、地図
づくりに携われ、その後、住宅地図で知られる地図会社ゼンリンにも勤務された、
地図づくりのエキスパートです。

 その豊富な経験と知識を生かしてこれまでも、『地図を楽しもう』(岩波ジュニア新
書)や『地図に訊け』(ちくま新書)など、地図についての著書を刊行されています。

 山岡さんとは、当ブログにたびたび登場する「やまさん」こと、山浦正昭さんのウオ
ーキングや集まりで、何度がお会いしており、今回も発刊の案内をいただきました。


 現代は、書店に地図や地図関連の書籍が多数並べられ、Web上にも地図サイト
がたくさんあり、パソコンや携帯電話からアクセスして利用されておられる方も多い
と思います。

 でも、利用されている方でも、地図はいつ頃から登場して、どのような経過をたど
ってつくられるようになったか、現在の地図は、どのようにしてつくられているのか、
知らないことが多いのではないでしょうか。

 山岡さんは、そのような疑問に答え、多くの人に地図測量技術や地図技術者への
理解も深めて欲しいと、本書を記したとのことです。

 本書は、6章で構成されていて、第1章、昔はどうやって地図をつくった?、第2章、
地図の種類はこんなにある、第3章、こんなことまで地図から分かる、第4章、地球
はどうやって測る?、第5章、地図はどうやってつくる?、第6章、最新の地図作成
技術に迫る! というようになっています。



 全頁ともカラー印刷になっていて、見開き2頁の中には必ず、地図やイラスト、写真、
図形などがあり、分かりやすい文章とともに、理解を助けてくれます。

 地図に興味のお持ちの方はもちろん、地図をよく利用されている方も、本書を読んで、
地図についての理解を深めていただければと思い、紹介しました。

 山岡 光治著、新書版238頁、サイエンス・アイ新書、ソフトバンク クリエイティブ
(株)発行、価格(税込み)1,000円


 ちなみに、山岡さんのWebには、地図に関する興味深い情報が、たくさん盛り込ま
れています。当ブログのブックマークの 「おもしろ地図と測量」 からか、下記をクリック
してご覧下さい。 

  おもしろ地図と測量 

 

 
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映画「剣岳 点の記」を観る

2009-07-01 22:55:33 | 地図
 2009年7月1日(水)

 今日は、6月20日(土)から全国でロードショーを開始した映画
「剣岳 点の記」を、入間市のシネコンで観覧してきました。



 この映画は、新田次郎の同名の作品を映画化したものです。

 日露戦争後の明治40年(1907)、国防のために日本地図の完
成を急ぐ陸軍は、参謀本部陸地測量部の測量手・芝崎芳太郎など
7人を(北アルプス)剣岳へと送り込みました。

 そこは、まだ誰も足跡を残していない国内最後の未踏地。その剣岳
に登頂して三角点を設置するのが、柴崎らの使命でした。

 一方、小島烏水(こじまうすい)率いる、発足間もない日本山岳会も、
初登庁を狙っていました。

 剣・立山連峰の美しいが厳しい自然を舞台に交錯する両者の信念。
そして最初に山頂に立ったものが見たものは……。というものです。



 2年間、のべ200日を超える撮影を行い、オール現地ロケにこだわ
ったという作品です。

 雄大な北アルプスの眺望とともに、猛烈な風雪や豪雨にさらされ、
つねに生命の危険を伴いながらも、歩一歩と山頂に向かい、時には
撤退して別ルートから目指すなど、困難を極めたその様子は、想像
以上の迫力でした。

 私たちがいま、国土地理院の地形図を信頼して使用できるのも、
このような先人の労苦や挑戦を受け継いできたからこそと、これから
地形図を読むときには、思い出さずにはおられないでしょう。

 地形図の愛用者はもとより、地図を利用する多くの方々にご覧いた
だき、地図が出来るまでにどのような苦労があるのか、その一端を
理解してもらうために、ご覧いただけばと思います。

 「山と渓谷」6月号では、この映画と原作者新田次郎のこと、そして
夏の剣岳登山について特集しています。



 映画「剣岳 点の記」の公式ブログは、下記をご覧下さい。
  http://www.tsurugidake.jp/blog/

 〈後記〉
 7月3日(金)に、東京・有楽町駅東口の観光会館地下1階にある、
富山県のアンテナショップ「いきいき富山館」に立ち寄ったら、「剣岳
 点の記」の写真展と測量関係品の展示をしていました。


 映画のシーンを撮ったスティール写真。


 背負い子に三等三角点(模造品)とわらじがくくりつけてありました。

 実は剣岳にも三等三角点を設置する予定だったのですが、急峻な
地形に阻まれ、標石の設置はあきらめたのでした。

 こちらは、ほんものの経緯儀(トランジット)、目標物の高度と方位を
測る器具で、昭和30年代ころまで使用されたもののようです。

 このような器具で測量するシーンもありました。

 後になりましたが、「点の記」とは、三角点の名前や住所、設置年月
日、設置者などを記した国土地理院の永久保存資料(当初は陸軍省の
陸地測量部で作成)で、三等三角点以上(二等、一等)の各々の三角
点ごとに1枚の記録が残っています。
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日本の地形図政策が変わる

2009-06-08 23:07:15 | 地図
 定期購読をしている『地図中心』(日本地図センター発行)という
月刊誌の、6月号が昨日届いた。

 今号の特集は、「これでよいのか国土の記録! 日本の地形図が
変わる」というものである。



 それによれば、「地理」の名称を冠したただ一つの法律、「地理空
間情報活用推進基本法」が2007年8月29日から施行され、政府
の地図製作が大きく変わるという。

 要は、デジタル化の進展に伴う時代の変化に対応して、地形図情
報のデジタル化を進め、紙ベースで発行されてきた地形図の課題点
の解消を図ろうという考えらしい。

 現在の地形図の課題点として、①位置情報の制約、②空間解像
度の制約、③時間制度の制約、④検索における制約、⑤多目的活
用に対する制約があげられている。

 ①位置情報の制約→本来描かれるべき位置(真位置)が、狭い地
図上に表現する制約から、意図的にずらして表記(転位)されること
がある。

 ②空間解像度の制約→近年、地理空間情報の活用が特に都市部
に拡大していて、詳細な情報が求められているが、全国統一の仕様
で作成されているので、密集市街地などではそのニーズに対応でき
ない。

 ③時間制度の制約→紙地図では手作業などによる高度な地図調
製のための時間や、印刷、刊行、流通に伴う情報伝達の遅れが不可
避。

 ④検索における制約→目的とする情報のあり場所の検索を、紙の
地図では肉眼でせねばならず、多大な時間と労力がかかる。

 ⑤多目的活用における制約→ある目的に使用するために特定の
情報を書き込むことは紙地図では困難。

 これらの課題点を解消するための、新しい基本法の考えとは、紙地
図を中心に限定的活用に留まっていた地理空間情報について、高度
な活用を推進するため、デジタルの地理空間情報を活用する。

 そのため、施策の選択と集中が必要で、国が今後優先的に取り組
むべき施策に整合しないものは、従来の施策でも軌道修正が必要に
なるという考えにたっている。

 その考えの中に、「従来の全国統一基準から脱却し、都市部とそれ
以外の地域では、基盤的な地理空間情報の品質を変えて整備する」
ということもあるようだ。

 これらを踏まえた国土地理院の取り組みは、現在の2万5千分の1
地形図を中心とした基本図体型から、デジタルの地理空間情報を変化
にあわせて適宜修正し、インターネットで即座に提供する体型へ移行
するということらしい。

 そして、2013年までに測量成果のデジタル化を完了させ、紙地図
の店頭販売から通信販売やオンデマンド方式などの積極的な導入を
進め、今後の利用動向によっては更新の中止も視野に入れていると
いう。

 2万5千分の1地形図についても、図式の項目の取捨選択を行い、
植生界、郵便局及び送電線は削除されることになったらしい。

 5万分の1地形図については、平成20年度で更新業務を終え、平
成21年度以降は、前年度までに更新された地形図の刊行と、刊行
済みの地形図の補給を当面行う予定という。

 このようなことになるようで、誌上では、これら政策に対する利用者
側の意見なども、何人かによって投稿されている。

 また、われわれカントリーウオークをするものから見た問題点や懸念
もいろいろ出てくるが、今日はとりあえず、国の政策転換の概要紹介
のみに留める。

 


  
 




 



 

 
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地図の本と地形図をテーマの「趣味悠々」

2008-08-29 22:46:52 | 地図
 昨日、8月28日(木)、関東や中部地方では記録的な集中
豪雨となり、大きな被害が出ました。

 わが所沢市も時々激しい雷雨に見舞われましたが、ニュース
になるような被害が出なかったのは幸いでした。

 きょう午前中は日も差したのですが、午後からはまた不安定
な天気になり、今も雷鳴が聞こえています。

 このあと、各地に被害が拡大しないよう祈りたいものです。

 今日の話題は、地形図のことです。

========================== 

 文春新書8月の新刊として「地図もウソをつく」発売との新聞
広告をみて、さっそく入手しました(本体750円)。



 著者はフリーランス・ライターの竹内正浩さん。私は知りま
せんでしたが、JTB出版部門で旅行誌などの編集をされて
おり、旅や地図好きな方のようです。

 地形図をよく読むと、いろいろな疑問が出てくるものですが、
その謎を解いてくれたり、正確に思われる地図にウソや誤り
があるとか、地図と国際関係など、地形図や地図に関する
興味深いことが、いろいろ盛りこまれています。

 まだ読み終えたわけではありませんが、目を引かれたのが、
最後の章・終章の「いま地図があぶない」です。

 その章で、国土地理院の地形図が危機を迎えていることが
述べられています。カントリーウオークを初め、どこのウオーキ
ングにも地形図を携行して歩いている私としては、見逃しなら
ぬことです。

 それによれば、2007年の地形図の売れ行きは、全盛期の
1981年の1/6以下、141万枚余りになってしまったとの
こと。

 私がウオーキング用に愛用している2万5千分の1地形図は
98万枚余り。全部で4342面あるので、1枚平均わずか227
枚しか売れてないということになるようです。

 ちなみに、私の昨年の地形図購入枚数を調べてみたら、2万
5千分の1は23枚、5万分の1は7枚でした。

 また、4月にカントリーウオークグループの皆さんに、保有して
いる地形図枚数を調べてもらったときの、私の保有数は、2万
5千分の1が472面、5万分の1が40面でした。

 地形図の値段は、2万5千分の1が1枚270円、5万分の1
が290円ですが、その値段では得られない豊富な情報が盛り
こまれていると思います。

 地形図を眺めていると、いろいろな興味や疑問が生じ、現地
に行ってみたくなることもしばしばです。

 毎日毎日テレビからは、日本国内はもとより、世界中の情報
や観光地の紹介などがたくさん放映されていますが、それらは
確かにきれいで理解されやすいですが、限られた場所であり、
すべて画面を通した虚像ばかりです。

 子どもも大人も、もっと地形図に興味を持ってもらい、地形図
をもとに、あちこち歩き回ってもらうと、その土地のナマの情報
に接することができ、日本の現状に対する理解も深まるのでは
ないでしょうか。そして地形図の売り上げ増にも寄与できること
にもなります。

 そんなことを狙いとしたのかどうかしれませんが、NHK教育
テレビ「趣味悠々」で9月、10月に、地形図をテーマの番組が
放映されます。その第1回は9月1日(月)です。

 毎週月曜午後10時~10時25分(再放送翌週月曜午後0時
30分~時55分)に放映される「地形図片手に日帰り旅」で、
下はそのテキストです(本体1000円)。



 講師は、もと国土地理院長だった野々村邦夫さん。私も一昨
年だったかに参加した、JRのジパング倶楽部主催の地図に
関するカルチャー講座で、野々村さんの話を聞いたことがあり
ます。

 この講座では、それぞれの2万5千分の1地形図をもとに、
千葉・銚子の九十九里浜の海岸線、神奈川・横須賀の港町
の昔と今、東京・江東、江戸川の下町散歩など、関東と山梨
県の特徴的な地形のところを地図と見比べながら歩き、地形
図を理解し、地形図に興味を持っもらおうという番組のようです。

 地形図は難しい、地形図は苦手だという人も、ちょっとのぞ
いてみてはどうでしょうか。地形図を読むことに興味が湧いて
くるかもしれませんよ。

 テキストはオールカラーで、関連の地形図や写真が豊富に
盛りこまれているので、ちょっとでも地図に興味を持っている
人は、テキストを読むだけでも、興味が広がるのではないでし
ょうか。

 このテキストには、下のような「地図記号ハンドブック」が
綴じ込み付録になっています。



 切り離して閉じると14頁の小冊子になり、よく使われる地図
記号112個の説明が、理解しやすいように解説されています。
 
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岩波ジュニア新書「地図を楽しもう」

2008-07-05 22:24:01 | 地図
 昨日、今日、所沢市内は、32~33℃くらいまで気温が上
がり、梅雨が明けたかと思われるような暑さになりました。

 この暑さでは昼間歩くと、日中症?じゃなくて熱中症になり
そうなので、夕方恐る恐るウオーキングに出かけました。

 カメラを構える気にもならずに戻ってきていますので、本日
は、最近発売された地図の図書の紹介です。

 岩波ジュニア新書で、「地図を楽しもう」というのが、4月
22日付で発売になりました。



 著者の山岡さんは、もと国土地理院で地図づくりに携わった
方。当ブログでも紹介した、3月に開催の、やまさんの「LL
ウオーク茨城」にも参加されました。

 自らも地図好きという山岡さんが、青少年向けに地図の楽し
み方をやさしく記したのがこの新刊です。

 地図の読み取り方、楽しい地図の紹介、地図の歴史、測量
から地図制作まで、測量・地図遺跡をたどる、自分で地図づく
りを…といった項に分けてやさしく記述されています。

 表紙カバー裏には、こんなことが記されています。

 地図の中に風が吹き、光がさしているのに気づいています
か。煙突や噴火口の煙は東にたなびき、記念碑や針葉樹の
影も東に伸びています。作成法や記号が少しわかれば、地
図はあなたの街歩き・野山歩きの頼りがいのある友だちです。
オリジナルマップをつくったり、測量遺跡を訪ねたり、地図を
思う存分楽しんでください。

 ジュニア新書だから、内容はシニア向きでなないのではな
いかというと、まったくそんなことはありません。

 ジュニアであろうとシニアであろうと、その中間の方々でも、
地図ファンには、国土地理院の地図ずくりの裏話など、興味
ある内容がたくさん盛りこまれています。

 書店の新書コーナーで、ちょっとのぞいてみてください。

 ちなみに、著者・山岡さんのWebへは、当ブログの「ブック
マーク」の最下段、「おもしろ地図と測量」から入れます。

山岡光治著、新書版226頁、本体780円、岩波ジュニア新書
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城山(津久井城)に上がる(神奈川)(続き)

2008-02-19 22:02:18 | 地図
 昨日と今日、ツツピー、ツツピー、ツツピーと鳴く、
シジュウカラの声を聞きました。

 毎年、シジュウカラの鳴き声を聞くと、春が近いと
感じます。

 昨日紹介した後半、城山から下山し、津久井湖畔
からJR相原駅までの間の写真を幾つか紹介します。

======================

 2008年2月16日(土)の続き



 城山(津久井城)かろ北側の津久井湖南岸に下り、
観光センターに寄った後、往路のバス通りを歩いて
戻ることにする。

 津久井湖の東側にある堰堤(えんてい)上を、バス
路線でもある国道413号が走っている。

 その堰堤から見た津久井湖東部。

 堰堤のすぐ先に城山ダム展望台があり、上がって
ダムサイトを見下ろす。

 
 国道を東へ、谷ヶ原浄水場付近は車を避けて北側
の旧道に入る。谷ヶ原1丁目に、かやぶき屋根の民
家が残っていた。


 大正禅寺のそばを回って東に下り、温泉坂と呼ぶ
小さい坂を上がって再び国道に戻る。

 東原宿交差点で国道に分かれて北へ、県道506
号に入る。相原交差点で東西に走る町田街道に合
して東へ向かう。

 開都バス停のところからは旧道に進む。北側の台
地上にりっぱなお寺が見えたので上がってみた。

 長福寺で、開山は寛永6年(1625)。朱印5石3斗
を賜り、文化3年(1806)にこの地に移ったという。

 山門には精巧な木彫が施されていた。


 丸山の交差点際には、大きなケヤキとイチョウが
ご神木になっている諏訪神社がある。

 イチョウは枯れ枝を高く広げていた。


 少し先、細い路地の角にあった民家。ヒノキの皮
で葺(ふ)いたのだろうか。

 民家の造りとしては珍しい。

 ここまで来れば駅は近い。16時27分にJR横浜
線相原駅に着き、八王子経由で帰途についた。

 




 

 

 
 

 

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