魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

じじい化

2010年06月14日 | 日記・エッセイ・コラム

No.930

子供の運動能力がまた低下しているらしい。
体力は歯止めが掛かったが、運動能力が発達していないのだそうだ。
身体を使ってボールを投げられない。手だけで投げるから、真っ直ぐ遠くに飛ばない。
何か少しでも動くと、すぐ疲れる。

ゲーム漬けは良くないと言っても、子供を取り巻く環境も悪くなっている。車社会の道では遊べないし、うるさいと抗議する人が増えて、遊園地で大声を出せない。
草野球をできる集団も無くなったし、サッカーの方が人気がある。
その上、温暖化で雪も降らなくなったから、雪合戦もできない。

そんな時代の子供が、ボールが投げられないのはよく解る。
しかし、すぐ疲れるのは、運動が足りないからではないだろう。
これは、子供の「じじい化」現象だ。

近頃の子供は、子供集団ではなく、大人の中で育つ。
学校や塾以外は、基本的に車で家族と行動するか、ゲームで家に閉じこもっている。子供集団の遊び運動量が少なく、大人と同じ生活パターンで育つ。

大人は無自覚だが、子供と比べれば、「ああ、疲れた」とか、「お疲れ様」と、しょっちゅう口にしている。
「♪疲れを知らない子供のように」とはいかない。

大人の中で、育つ子供は自然に見習って、「大人子供」になる。
それが、「じじい化」現象だ。
最近の子供は、恵まれた環境で「一人っ子化」しているが、一人っ子も、同じ理由で不活発な「大人子供」が多い。

「すぐ疲れる子供」は、体力より、精神的な問題だろう。
親の方が、多少の怪我など気にしないような意識を持ち、子供集団をつくれるような環境作りが必要だ。

「家族、家族」と聞こえは良いが、世代別の集団が形成されない社会が原因で、
親が、子供と密着しすぎるから虐待も生まれるし、終いには、親子とも年とっても、互いのことばかり気にして、いがみ合ったり悩んだりしている。
大人が子供化し、一方で子供の年寄り化(大人子供)がうまれている。