魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

古代エゴ

2010年06月24日 | 日記・エッセイ・コラム

No.940

トヨタやホンダ、その他部品会社の中国工場で、ストが相次ぎ、製造が中断した。

日本の会社に言わせると、特に搾取していたわけではない。むしろ中国国内では良い方だったそうだ。しかし、日本国内から来ているホンダ幹部社員との格差が50倍もあり、その不満でストをしたら、日本の会社が妥協した。その結果、ストは連鎖反応的にヒートアップした。
中国経済の底上げにともなう現象だ。

この件で、欧米の調査会社は、欧米の企業とくらべ、日本企業の賃金は半分ぐらいだと、レポートしている。
ソニーのストリンガー会長や、日産のゴーン社長の8億以上の年俸の話と合わせて、色々と、考えさせられる。

何が起こっているのか
まず、階級が厳然と定着している、欧州から始まった資本主義の搾取と、共産主義を最も成功させた国と言われる、日本の資本主義との根本的な違いがある。

階級意識の上に成り立つ欧州の合理的搾取にくらべ、日本(東洋)の資本主義は、排他的な血統主義だから、国内では四民平等の反面、他族からは搾取する。

だから、グローバルな経済戦争の場で、平等意識の高い日本人では決断力に欠け、対外対応ができない。そこで、外の風である欧米式専制経営者を雇えば、欧米並み報酬が必要となる。

中韓がグローバル対応を上手くやっているのは、東洋の排他的エゴでありながら、かつ、国家や企業のトップが専制的だからだ。

欧米は、家長意識を近代的な「システム化された階級」に進化させたのに対し、東洋は、いまだに古代的な血族がそのまま機能している。
民族主義が影響力を持つ背景でもある。
日本は、国内だけは西欧を移入しシステム化したが、天皇を据えた血族であるため、対外的には古代のままでいる。

古代的血族主義とは、力のある集団が弱い集団を餌食にし、奴隷にするという原始的な意識だ。従って、どう言いつくろおうとも、開発途上国の低賃金を利用するのは、餌食、奴隷の発想から来ている。

欧米のシステム化された階級意識では、上層と下層には歴然と格差があるが、下層は餌食ではない。家畜や奴隷にはそれなりの栄養と休養を与えなければ、牧場経営は成り立たないことが解っている。
上下の格差秩序を前提とする共存主義だ。
このことが、経営者の高報酬と、それなりの労働賃金の配慮を生んでいる。

古代的な食うか食われるかの力関係の中では、狩られる側も、相手に対する思いやりなど持たない。相手が弱みを見せれば、どんどん弱点を突いていく。
日本の労使関係のような、理解し合う関係はあり得ない。
中途半端な妥協より、思い切った寛容と、ハッキリしたボーダーを示すことで、中国的言論の自由のようなコントロールが可能になる。

しかし、もちろん、それは過渡的な方法であって、日本企業が国内で確立したような、「最も成功した共産主義」を、グローバルスタンダードにすることこそが、日本企業が尊敬される道ではなかろうか。