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トラピスト修道院(シトー会西宮の聖母修道院)

2010-10-09 | 建築巡り・街歩き【兵庫】



今日は6月から参加している月一の建築巡り講座で村野藤吾設計のトラピスト修道院(シトー会西宮の聖母修道院)の見学に訪れた。
阪急夙川駅からバスに乗ること15分、更にそこから山道を大雨の中十数分歩いてやっと修道院へ到着~。
山の斜面という緑あふれるロケーションに立つ修道院なのだが、あまりの雨でその美しいロケーションを楽しむ余裕なし;





緑に囲まれたアプローチを進む。









建物の一部が姿を現した。
フランスのリヨン郊外にあるコルビジェ設計のラ・トゥーレットの修道院に影響を受けて造られたというこちらの修道院は1969年に竣工した。
設計者の村野藤吾はこちらの修道院で1980年に洗礼を受け、カトリックに改宗、93歳で死去した時の葬儀もここで行われたという。





山の傾斜地に造られているので緑の木々と建物とが一体となっている。
この日は雨降りだったので景色はいまいちだったが新緑の頃はさぞきれいなのだろう。
(といっても普段は非公開なので見ることはできない)





建物入り口までこのような渡り廊下がいくつかつけられていた。









そして聖堂内へ。(聖堂内は入ることはできないが、その聖堂を前方横から眺められるスペースへ)
華美なものはなくシンプルで厳かな空間が広がっていた。





祭壇には長野の山中で切り出されたという大きな石が置かれ





天井からはその祭壇に光が降り注ぐようにトップライトが設けられている。





祭壇の後方には控え目な色合いの宇宙をイメージしたというステンドグラスが入れられている。





こちらのステンドグラスも遠目で見るとガラスが曇っているのかな?というような微妙な雰囲気だったが
帰って写真を引き伸ばして見ると繊細でやわらかな色合いのガラスが天の川のように美しい景色を造り出していた。





この御堂は二階建てのひとつの大きな船、聖書でいうノアの方舟を表していて、
御堂内の全てを包み込む、救うというような意味合いを込めて造られたものだそう。
12本ある柱は12人の使徒の信仰を表すなど、
聖書にちなんだ設計が建物のあちこちに伺うことができる。
晩年にカトリックに改宗した村野藤吾だったが聖書に対する理解の深さ、信仰の厚さを伺うことができるという。





修道院ではこちらの聖堂で朝4時から始まる一日7回の祈りを中心として日々生活をおくられているそう。
祈りの合間に農業や製菓などの仕事をされていて
入り口の売店では手作りのクッキーやジャムなどを購入することができる。





この扉の先にはこちらの修道院の見どころの一つである中庭に回廊が巡らされているそうだが、
見学の制限が厳しくなっていてもう見ることができないとのことで無念~





堂内の壁はコンクリートにレンガタイルが貼られその上からペンキを吹き付けるという
スウェーデンなどの北欧でよくみられる手法で造られたもの。
このようにひとつひとつのレンガの形を浮き出させたのは本来石を積み上げて造っていたという教会建築の原点からひとつひとつの石の大切さを強調したかったとのこと。





見学席に置かれていた長椅子は同じ村野藤吾設計の宝塚カトリック教会で見た和風の椅子の造りと似たものだった。


今回は修道院という俗世間からかけ離れたところで日々過ごす方々と、その神聖なる祈りの空間を体感することができた貴重な見学会だった。

コメント (6)
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