転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
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HN「転勤族の妻よしこ」、筆名「山田亜葵」。家族は、転夫まーくん(またの名を「ツアコンころもん」)、転娘みーちゃん(1995年生まれ。首都圏在住。会社員)。
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調律
クラシック音楽
/
2009年05月14日 14時45分32秒
年に一度の、ピアノの調律の日だった。
この調律師さんには、私が小学生の頃からお世話になっていて、
実家のピアノもずっと見て頂いている。
もう三十年以上のお付き合いというわけで、
私は、初めて出会った頃の調律師さんの御年齢を
気がつけばとっくに超えてしまっていた。いやはや。
終わってお茶を飲みながらお話をしていて、
実家の、年代物のアプライトをいずれは我が家のほうに引き取らねば、
と私が言ったら、調律師さんが、
「でも、あれは、楽器はいいけど、黒だからねぇ・・・」
と、あまり賛成できないような口調で仰った。
それで伺ってみて初めてわかったのだが、
「家庭に置く縦型ピアノは木目に限る!とボクは思っている」
というのが、調律師さんの、一貫したご意見だった。
彼は、昔から、日本の、特にアプライトに関して、
常に黒が商品の主体になっていることに疑問を感じ、
黒と木目が、同じ値段で提供できるようになればいいのに、
と思い続けて来られたのだそうだ。
確かに、日本では多分、ピアノを持っている家庭のほとんどは、
黒いアプライトを最初に選び、購入しているのではないかと思う。
同じサイズ・機能なら、木目より黒のほうが安いし、
何より「黒が普通」という刷り込みが日本人の間にあるからだ。
だが、部屋の中に、黒光りする大きな物体がある、
というのは、実はかなり、違和感の元になる。
箪笥ほどの大きさがあるうえに、黒い質感がほかの家具とは違い過ぎ、
アプライト・ピアノがひとつあるだけで、とても邪魔というか、
インテリアの雰囲気を壊すことが多いと思う。
また、古びて塗装がハゲると、黒いピアノはみすぼらしくなりがちだ。
その点、家具や建具との調和は木目のほうが断然優れているし、
木目であれば、傷跡があっても、使い込んだ木製品ならではの味わいが出る。
ピアノなんて、多くの人にとっては一生に一度の買い物だろうから、
それならなおさら、判で押したように黒を選ぶべきではないのではないか、
と、私自身、大人になってからは、思うようになっていた。
それで、官舎暮らしで一番小さい型番にしか手が出せなくても、
私が自分の虎の子で買った今のピアノは、木目を選んだのだ。
ちなみに、グランドピアノに関しては、
私の趣味は、「黒・鏡面仕上げ」がデフォルト、という感じだ。
海外でも、演奏会で使用される規模のグランドは「黒」である筈だ。
ちなみに以前写真で見た、ポゴレリチの自宅ピアノも、確か黒だった。
グランドほどの大きさがあれば、これ自体が部屋の主役になるから、
あのどっしりと重厚な質感にも意味があると思う。
勿論グランドであっても、自宅の居間に置くなら「木目」、
という発想もアリだとは思っている。
先日もネットオークションで小型のグランドで木目のが出ていて、
それはいかにも家具に調和する、温かい雰囲気があり、
ころころっと十億円入ったら買うのになぁと見とれたものだった。
一方、私が昔から今に至るも、どうしても許せないのは、
白やピンクなど明るい色の塗装のグランドピアノだとか
アクリル樹脂でできたクリスタル・ピアノの類だ。
そんな軽薄なものは、いくらファッショナブルで高価か知らないが、
私には、楽器とは認め難い。
超高級な、置物か玩具のようにしか見えない。
昔70年代に流行った、ニューリカちゃん@タカラの、
「白い白い家具シリーズ」の感覚そのままではないかと思う。
そういえば、姫川亜弓@『ガラスの仮面』も
ご自宅に白いグランドピアノをお持ちだった。
パパの姫川監督からのプレゼントだとかいうことだった。
亜弓さん本人がリカちゃん人形みたいな人だし、仕方がないとは思うが、
どうせお金をかけるなら、塗装に凝るより、
アンティークのグロトリアンあたりで、
象牙・黒檀鍵盤とかにすれば良かったのに。
ころころっと入った人に限って、変なことに使ってしまうものだなぁ。
まぁ価値観の相違ってことで・・・
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