転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昨夜、主人が帰宅してから、
「昼の、不倫から脱出せよの文章、最後まで読んだら
これが、なかなか読み応えがあった」(爆)
と言ったら、彼もまた面白がって再読していた。
そして、内容もさることながら、
『夫が、反則の愛人の罠に嵌って』
『女のくせに、女の幸せを壊して、女としての反則で』
と、二度も『反則』という不似合いな言葉が出て来ることに反応し、
「どんな反則かね、レフェリーがおるんかね」
とウケていた。

私「兇器を隠し持ってんねん、きっと」
夫「ワン、ツー、ってカウント取られ始めると、
 愛人は一時的に、ばっと離れるんかね」
私「あと、愛人がフォールした!と思っても夫の足が、ロープロープ」

……という話から、ともにプロレス・ファンであった過去を持つ我々は、
昭和のプロレスがいかに面白かったか、輪島がいかにヘタだったか(爆)、
という懐かしい話題で盛り上がってしまった。そして、
「ようつべ、観ん?あったと思うで、輪島の凄いプロレス」
と主人が言い出し、とうとう夜中に二人でYouTubeを見始めた。

これが、もう、懐かしいやら、可笑しいやら

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横綱・輪島大士が素晴らしかったことは私もよく知っているし、
数々の名勝負に深い敬愛の念をも抱いているくらいなのだが、
レスラーとしての輪島は、申し訳ないがトンデモなかった。
どんなに身体能力が高くても、どれほど質の良い稽古を積んでも、
それだけでは決して一流レスラーにはなれない、ということを、
彼ほど明瞭に示してみせた人は、ほかにいなかったと思う。

輪島のプロレスは、今見ても、そのテンポの悪さ、
見せ方のヘタさ加減に、イライラさせられる。
プロレスは純然たる格闘技ではなく、
身体能力とセンスに恵まれたプロフェッショナルたちが、
呼吸を合わせ、華やかな技と高度な受け身を駆使し、
「見せる」ことに主眼を置いた格闘パフォーマンスを展開するものだ。
結末が決まっているから八百長、などという単純な次元の話ではなく、
そこに至る攻防やスリル、駆け引き、試合の緩急こそ、
レスラーの腕の見せ所であり、瞬間的な適応力が問われる部分でもあるのだ。
輪島は、そのあたりを習得することが、最後まで出来なかった。

例えば、試合中ロープに振られたら、勢いよく戻ってきて、
相手のドロップキックを真正面から食らい、思いっきり吹っ飛ぶ、
というのがお約束だし、観客の要求するテンポでもあるわけだが、
輪島は、ロープからだらだらと不規則に帰って来るだけで、
ドロップキックを受けても中途半端で、
ちょっとよろけて見せるのがせいぜいだった。
「ヤられた~!キいた~!」
というセール(リアクション)がヘタ過ぎたのだ。

呼吸を合わせなければ大怪我をするブレーン・バスターは
輪島では、受けるのもかけるのも拙く、危険過ぎたし、
(昨日見た録画の中では天龍が一度、大胆にも受けてくれていたが)、
当時はそれなりにフィニッシュとして人気のあった足四の字固めも、
脚を攻めるまでの駆け引きを構成できない輪島には、無理だった。
敵をラリアットで仕留め、ダイビングでニー・ドロップを決めようにも、
動作の遅い輪島はロープに登るだけで手間取り
(一瞬でトップロープまで足をかけ、客にアピールしてちょうどなのに)、
その間に敵の選手が、苦悶を装いロープ下まで移動してくれたりしていた。
結果、彼の手の内にあったのは、スモウ・タックルやチョップだったが、
これらは見栄えがしないし、フィニッシュ・ムーブ(決め技)としても
説得力がなさ過ぎた。

「全日本だからここまでやれた。新日だったらつぶされてた」
という主人の見解に、私も全く同感だった。
ジャイアント馬場が総帥だったからこそ、
輪島の成長を待ってくれたのだし(結局、駄目だったが・爆)
輪島の顔が立つようなカードを組んでもくれたのだ。
ウォーリアーズやブッチャーとの勝負は反則勝ちやリングアウトだし
同じ相撲出身同士として、天龍との抗争も仕立てて貰っていた。
猪木だったら、輪島を呼ぶとしても、単に、
自分のカリスマ性をアピールする道具にしかしなかったのではあるまいか
(それはそれで猪木の良さなので、私は彼を全く否定はしないのだけど)。

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それにしても、YouTubeはお宝の山だ。
今になって、こんな輪島の名勝負(殴)がもう一度見られるなんて。
ただひとつ残念なのは、輪島のゴールデン・アームボンバーに、
自分から飛び込んでくれているレスラーの映像が見つからなかったことだ。
当時、そういう選手はひとりではなかったような記憶があるのだがな(逃)。

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