主役をさしおいて、なんでゆうひ(大空祐飛)くんを語っているのか、
我ながらおかしいのだが、もうひとつだけ、ロメロのことを書くと、
決闘の直前に、エリオとエバの出生の秘密が明かされ、
絶望のただ中に突き落とされたエリオを前にして、ロメロもまた、
深い打撃を受けたことが、今回の舞台ではよくわかった。
残念ながら私は正確な台詞を覚えていないのだが、
『どう申し上げたら良いのか』みたいなことを、
ロメロがエリオに向かって言葉少なに言う箇所があって、
この言い方が、ゆうひくんのはとても巧かった。
短い台詞だが、大変に印象に残ったのだ。
ここではもう、話の中心はエリオのほうに移っているし、
ロメロの発言は、言い様によっては蛇足にさえなりそうなのに、
ゆうひくんの声のトーンからは、ロメロの立ち位置がよく伝わって来た。
彼は彼で、エバを愛し、これまでに彼女との間に築いたものがあり、
エリオのことも、エバを通して彼なりに知るようになっていた。
多分、この場でエリオの苦悩の意味が、最もよく理解できたのは、
エリオの母親でもなく友人たちでもなく、
エリオと同じ女性を見つめてきた、このロメロだったと思う。
あとで調べたら、ゆうひくんは92年初舞台なので、
95年初舞台のまとぶん(真飛聖)より、3期ほど実際に上級生だった。
この学年差の御陰で、今回の配役が巧く行った面もあったかもしれない。
ロメロは路線男役にとって大変難しい役だと改めて思った。
それをあそこまでかたちにして見せたゆうひくんは、さすがだった。
広島で彼女を見たのは、『ジャワの踊り子』のハジ・タムロン、
『ダルレークの恋』のペペル、そして今回のロメロと三度目だったが、
どれも彼女ならではの魅力があり、高い完成度だったことがよくわかった。
彼女はこのあと、宙組主演男役に就任することが決定しており、
まさに満を持して、と言える、良い時期に昇格が決まったと思った。
さて、このあとは、記憶が新しいうちにまとぶんのことを書かないと(^_^;)。
(続)
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