杉浦日向子は病気がいよいよ進んで、
闘病のため、公けの場から姿を消したとき、
「念願の豪華客船で世界一周旅行に出た」
という理由にしていたそうだ。
粋だ。
亡くなってしまった後も、
まわりの人々は
「彼女は江戸に帰りました」とか言ってる。
・・粋だ。
しかし、こういう「言い換え」って、いいよね。
俺はついつい思いだしてしまうのだけど、
21歳の時に岩佐が突然亡くなってしまったこと。
佐治が岩佐のこと歌った「宝物の歌」の中で、
「オマエは今頃、どんな世界を旅しているのだろう」
と言っている。
その歌を演奏して、その箇所に来るたびに俺は、
ちょっと薄暗いジャングルみたいなところ・・・
もしくは星ぼしのきらめく月面のようなところ・・・・
を、興味しんしんな顔をして
(ちょっと嬉しそうに)探検する岩佐が思い浮かんで、
ほんの少し、心の慰めになったものだった。
岩佐の20年後に、佐治も探検の旅に出た。
さてさて、深海へ向かったか、
アマゾン川か。
はたまた銀河の辺境か。
本当に思う。
「今頃、どんな世界を旅してるんだろう?」と。
佐治の事だから、多少の困難は笑い飛ばして、
ニヤニヤしながら大冒険をしてることだろう。