ぼんやりと、だが確実に
秋がその気配を深めて行く。
薄曇りの午後に、さびれた駅で電車を待っていたら
遠い昔に訪れた、
懐かしい遊園地のことを思い出した。
どこかの県の山奥の、いまはもう無い古びた遊園地。
その広大な敷地の周囲を、小さなサイズの電車が走っていたのだ。
時刻表は、なし。
だから誰も急がないし・・・大体、それに乗ったって
さびれた古い遊園地の周りをまわるだけなのだ。
・・・そんなの誰が急ぐ?
そして古いジェット・コースター。
見るからに年代もの・・・・というようなレールを、
がたがたと音を立てながらてっぺんまで登る。
そして降下・・・・・・・。
ぜんぜん大したスピードではないのだけど、とても怖い。
だってどう見ても、今にも崩れ落ちてしまいそうな鉄骨組みなのだ。
今回までは持ちこたえてくれ・・・・と願いつつ、
走るコースターから風景を眺める、
もう老い先の永くない遊園地。
それは古い写真のように切なく、
そして奇妙に静かで、
とても綺麗な光景だった。
たしかそこに行ったのが、
こんな天気の、
こんな季節だったんだよ・・・・
多分。