外は寒かったが、列車の中は暖かだった。
俺達は、描きかけの絵みたいな気分で
のろのろと乗り込んだものだった。
俺は昔から、長距離移動ってのが嫌いではない。
移動している間は物事が、
保留されているような気になるから。
とりあえず、一時休戦・・・みたいな。
現実はもっとシビアなのかも知れないが、
そんな気持ちになるぐらい別に、構わないだろう。
それにしても「シビア」っていい言葉だな。
外を見たらついに、雪が降っている。
ほんのこないだまで暑い暑いって言ってたのに。
時が過ぎるのは早い。
振り返ってみればいろんな物事が、
結局のところ「自分自身がどれだけ乗れるか」
ってところにかかってきていて、
そしてそういう試練みたいなのはこれからも続くし、
そんな観点からみれば人生はやはり、
修行の場でしかないのだろうか。
雪は止む気配も見せない。
思うんだけど、
雪が何故ホーリーなのかという理由は、
全然音を立てずに降るからだと思うな。
たったそれだけのことでさ、
天国と地獄ぐらい違ってしまうんだから、
世界ってのはけっこう・・
単純なものなのかもしれないよね。