「この夜の終わりに」

2007-01-29 11:35:17 | Weblog


淋しげな「夜の創造主」が、

薄荷煙草をガードレールでもみ消して、
手近なタクシーに手を上げた。

街のざわめきは一瞬にして用水路に吸い込まれ、
しまい忘れられたクリスマスツリーの電飾みたいに
みすぼらしい光を放っていたのもつかの間、
とっくに消え去ってしまった夢の名残を惜しむみたいに
女達の足許でくすぶっていたダイアモンドのかけらも、
街の空気の中に拡散して行ったあとだ。

タクシーは停まらなかった。

「誰にでも俺の姿が見える訳じゃないんだ」
言い訳するみたいに苦笑いしながら奴が言う。
奴、ってのは「夜の創造主」のことだ。

「タクシーの奴等なんてな、俺から見たら
アリンコみたいなもんさ。それでつまり・・・・わかるだろう?
アリンコから象は、見えてないのさ」

そんなもんかな、と思いつつ、俺は頷いた。
まあいいさ、大体・・奴がタクシー代なんて、
持ってたかどうか怪しいもんだ。

「別に、あんたさえよけりゃ、どこまでだって歩くぜ」
ためしに俺はそう言ってみた。
まるっきりの嘘って訳じゃない。でも、まあ
どこまでだって、ってのは嘘だ。

すると奴はこう言ったものだ、
「歩けるうちに歩こうぜ、お前だってこんな生活、
永遠に続くなんて思ってる訳じゃないよな?」

永遠、ときた。
どこまでも青臭い奴だ、と思ったけど
何だか答えるのもシャクなので、俺はただ黙っていた。

夜はいつしかアメジスト色の輝きを増して行き、
いくつもの小さな虹が俺達の前に、現れては消えた。

それが奴を見た最後だった。

俺が覚えているのはそれだけだ。




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どこかで誰かが

2007-01-28 10:37:00 | Weblog

夜の裏側で薄笑いしている君、

だけど大丈夫なことなんて何一つない。


俺は落下して、落下して落下して、

ずいぶん妙な所に辿り着く。


過去の俺は強硬で、何だか自分じゃないみたいだし

もっと前の俺は内向的で、それもなんだか俺じゃないみたい。


俺のすぐ横を音もなく過ぎて行く「現在」。

そのうちそいつをつかまえて・・・何て言ってやろう?

何て言えばいいんだろう、「行かないでくれ」?

まさか。

そいつはあまりにも馬鹿げている。

俺はそんなことのために・・・

いつも考え込んでいる訳ではない。

・・・だったらどうする?・・・だったらどうするんだ?


何か打つ手があるんなら、俺だってとっくにやってるさ。

何もないからこそこうやって、

ただ時間が過ぎるのを待っているんだ。

一秒、一秒、また一秒。

そんな風にしてもう何年も過ごしてきたような気がするんだが


・・・いや気のせいだそんなもの、

気のせいにきまってるんだ、何もかも。


それにしても

君は何処にいるんだ?

そして俺に、何を期待しようというんだ?


俺はもう・・・・・寝る。(暗転)


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エヴリシング

2007-01-27 10:46:56 | Weblog

何もかもを手に入れよう、

星くずだとか、砕かれてしまったキャンディのかけらとか、

薄羽蜉蝣の夢見た空とか、

花火みたいに一瞬で終わる夕暮れ、

ビルとビルの隙間を抜けてゆく少し埃っぽい風、

1月の雨の匂い、月の雫、小さな黒い猫の歌、

夜から夜へ、語り継がれてゆく伝説、

遠くの夜を走ってゆく列車、

ゴージャスな蝶々の落としていった粉。

笑っちまうほど薄くて堅い

サファイア・クリスタルガラスの破片、

視界の端っこを横切っていった夜明けの未確認飛行物体、

20分間だけこの世にあった、とある夕方の虹。

嘘みたいな土砂降り雨の中の部屋、

君の眼の中の確かな光、

溜め息の音と、衣擦れの音、

信じられない程遠くから届く、光の粒子。


・・・そんな何もかもを。




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昨日見た夢(タイムスリップ・ドライヴ)

2007-01-25 10:34:10 | Weblog
東京で一人暮らしをしている兄のアパートを訪ねて行く。

(・・・実際は兄は広島で家族と暮らしている)

アパートに着いてすぐ、何かの用事で

兄の車を借りることに。

・・・路上駐車してある黄色のサビサビでボロボロの

ミニクーパーだった。(そういえば兄は昔、実際に

ローバー・ミニに乗っていた。だが俺はそれを見たことはない。

黄色じゃなかったし)

なぜかクラッチペダルがウインカーのライトになっている。

後ろの荷物置くスペースにはエレキギターが積んである。

なぜかそのギターが懐かしく、いとおしい。理由は不明。

そのボロボロミニで東京の街を迷いながら走り回る。

だがしかし!その東京はビルもあんまりなく、

薄暗くてしけた裏町って感じ。あれはきっと

俺の記憶の中にある、30年前の東京の下町なのだ。

標識が捻じ曲がっていたりして、何度も

一方通行を逆走してしまうが、危機感はない。

すれ違うのは古い型の、ボロボロの車ばかりだ。

最後は小さなドブ川の脇に車を停めて、

兄のアパートへ戻る。で、終わり。

タイムスリップ・ドライヴって感じで

せつないながらも楽しかった。

また行きたいな、あの街。

「あてずっぽの神様」にお願いしよ。
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昨日はライヴ。

2007-01-24 13:33:15 | Weblog
ファンダンゴに来てくれた人達どうもありがとう。

ボケロウオンザロックとひさびさの共演。

俺達が四人になってから初だったし

むこうにキヨシが入ってから初だったんだよな。

ボケロウとキヨシに会うと必然的に

ばるぼら やってた頃思い出す。

リハ後、キヨシとヒロシと3人で

王将で飲んだくれたりして

穏やかに、楽しい日になった。

「あてずっぽの神様」と、友達に感謝。

さて

次の次の日曜日、二月四日は

千日前クラブウオーターにて

ファニーメイナイト2.

またボケロックと一緒だ。
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明日はライヴ。

2007-01-23 00:09:32 | Weblog
すっ転んだって俺は全然平気。

外れ弾だって気にもしない。

すべてをくるっとひっくり返して君に、

ニコッと笑ってみせよう。

すべての意識を集中して、

突き抜けるための強度を手に入れよう。

それが第一歩。

常にそこから再出発する、そして

しかるべき道を通って、

辿り着くべき場所に辿り着こう。


やらねばならないことなどなく、

やりたいことがあるだけなのだ、目の前に。

こんな有り難いことはない。

2007年1月23日

十三ファンダンゴ、

MITT`s THE SLAPSTICK RECTANGLE。

気の遠くなるような旅行はまだ続いている。

ほとんどのことはまだ、予想することすら出来ない。


今はまだ。



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時候のご挨拶

2007-01-21 23:26:23 | Weblog

考えなきゃいけないことばかり、

考えても動かなきゃどうしようもないことばかり。

・・俺がいくら動いても動かない、

どうしようもない現実もあったりして。

でもしち面倒臭くなって放ったらかしにしていると、

それはそれで面倒になるという、

どこまでいってもきりがないような気になる今日この頃。


冬はまだ当分続きそうだけど

みなさん元気ですか。

年賀状を何通かもらったのに、こちらからは一切何も

出していないし、返してもいないのだ。

大変申し訳ない、そのうち俺からの、

例によってうわごとのような葉書が着くからね。

・・・今年の暮れは年賀状書いてみようかな。


あ、でも駄目だ11ヶ月経った頃にはもう、

こんなこと思ったことすら忘れているに違いないのだ。

「来年の夏休みは早めに宿題やろう!」と、

何回思ったことか。

1・・・2・・12回だ!!


・・・ただの馬鹿か俺は。


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07年1月20日午前11時30分現在。

2007-01-20 23:52:49 | Weblog
あ”-めんどくせえ。JR阪和線全面休止だってさ。

12時には復旧するかな?振り替え輸送で南海電車なんて

乗るのまっぴらごめんだ、面倒臭え。

うるせえんだよ駅のアナウンス。

でもまあいいや、

特に急いで店に行かなきゃいけないってこともないし。

気分を切り替えてのんびり日記でも書こうかな。


昨夜はMITT`sのスタジオだった。

1/23FANNDANNGOに向けて最終仕上げ完了。

いろいろと楽しかった。

さてそのことはさておき・・・

ヒマにあかせて書き続ける。

昨日、スーペスシャワーTVの番組のゲストで

スガシカオが出ていて、

彼が 作詞するとき酒を飲みながらするんですよ、

と明るく語っていたのが印象的だった。


酒、とか 煙草、とか最近あんまり評判良くないから。

酒も煙草もドラッグも、まあドラッグなんてもともと

ろくでもないし俺はジャンキー嫌いなのだが、

だんだん世界ってそんな風に、クリーンになっていくのかな。


それは自然なことだし、まちがいなくきっと

いいことなんだが。


だけどなあ・・・俺は世代的に古い人間なんだろうな、

酒や煙草の持つロマンティシィズムみたいなものに

惹かれてしまうなあ、今でも。


浅川マキの手放さない、煙草。

キース・リチャードが弾きながら煙たそうに、

ギターに差す、煙草。

トム・ウエイツの酔いどれピアノ弾きのイメージ。

こーゆーの言い出すトキリがないのだが

「ダイヤモンドリングもキャデラックも要らないぜ、

俺はただライトニング・バーで飲んでたいだけなんだ」

(ハノイ・ロックス)。


でもこーゆーのも消えていく前世紀的なロマンティシィズム

なのかも知れないな・・・・

と諦念まじりに考えていたところに昨日の

スガシカオ君の明るい表明(?)である。


んー。

悪くないよな、酒飲んだって別に、運転さえしなけりゃな。



でも煙草はやめなきゃなー・・・とか思うのだ。


俺なんか実際の話煙草、体に合ってないんだよな。


しかしライヴのとき、特に本番直前、

自分のギターのセッティングを終えて他を待ってるときに

深ぶかと吸い込む煙の美味いこと。

ステージはいいなあ、って思う。


やっぱりちょっとキンチョーしていると

煙草は美味いみたいだ。

クルマを運転しているときも煙草が美味い。


しかし当たり前のような話だがノドには悪いなあ、煙草。

ライヴ前は本当は吸わないほうがいいに決まってるのだ、

ライヴ前がいちばん美味いのに。

いいけど、別に。


煙草は止めます。そのうち。




あー長い日記だった。

読んでくれてありがと。

電車も・・・動き出したよ。



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自戒

2007-01-19 12:04:26 | Weblog
自己中心的になるのはやめよう

厭世的になるのはやめよう

投げやりな態度をとるのはやめよう

諦めてしまうのはやめよう

怠けてしまうのはやめよう

自分のことを棚に上げるのはやめよう

自己保身を考えてしまうのはやめよう

他人に甘えるのはやめよう

誰かを憎んだりするのをやめよう

どうせ俺なんか・・・と思ってしまうのをやめよう

溜め息をつくのをやめよう

しょっちゅううんざりしてしまうのだが、それもやめよう

希望的観測をやめよう

絶望的観測もやめよう

高慢ちきになるのもやめよう

でも自己卑下するのもやめよう

結論を急ぐのはやめよう・・・・・・とにかく。
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スパイラル

2007-01-16 23:03:56 | Weblog

スパイラル、スパイラル、スパイラル!

澱みの中に漂う君の、

角を曲がるたびに深くなって行く影。

誰かが誰かを呼んでいた。

そして全ては繰り返し、

まったく何もなかったかのような心。

すべてが停止してしまえばいい  でも

俺は後になって懐かしむのだろうか

今を?

この風が吹き荒れる今を。

そんなのぜんぶ嘘だぜ、

まるっきりの出鱈目を並べ立てただけだそんなもの、

「お遊び」とさえ呼べやしない。

音もなく土砂降る雨のごとく。

現れては消える雲のごとく。

今・ここに・しかない奇蹟、

世界中さがしてもここにしかない奇蹟。

そんなものが確かにあったのに。

俺はたしかに目撃したんだ。

もうちょっとで触れたのに。

そいつは確かに在ったのに。




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