戸山ハイツのこと、今年中に書いておこうと思う。
こないだ一緒に演らせてもらった加奈崎芳太郎さんは、
1979年に解散した「古井戸」という二人組みの人だ。
二人組みの、片割れは仲井戸麗市(チャボ)さん。
あの、(後の)RCサクセションのギターのひとだ。
チャボさんが新宿の、戸山ハイツという団地に住んでいたのは、
RCとか好きな人の間では有名な話。
それで実は、俺も戸山ハイツに住んでいた。
というか、俺が産まれたときの「我が家」は、戸山ハイツだったんだよ。
1966年の新宿、戸山ハイツ。
俺が産まれたときの戸山ハイツは、平屋の、長屋みたいな団地だったという。
そんなの、全然覚えてない。
ほどなく、(当時としては)わりに近代的な5階建ての鉄筋の建物に建て替えられて、
俺が覚えてる『戸山ハイツ』はその、5階建てのものだ。
チャボさんの家も、俺の家も、立て替える前から住んでいたので、
新しくなったときに、優先的に入居できた家庭だ。
俺達(片山家)は、1973年くらいまで、そこに住んでいた。
それで
こないだ、楽屋で加奈崎さんに聞いてみたんだよ。
「古井戸」やってた当時、チャボさんの家(戸山ハイツ)に行ったりしました?って。
そしたら、
「おお、よく行ってたよ」とのこと。
とても嬉しくなったね。
加奈崎さんが行ってたのはきっと、1970年くらい。俺は・・・4歳か。
加奈崎さんも、俺が幼児期を戸山ハイツで過ごした、ということに、
とても驚き、喜んでくれた。
たぶん、団地の道端で、すれ違ったことぐらいは何度もあるだろう。
それって、すごいことだ。
「戸山ハイツ」は、今はもう、あの4階建ての建物ではなく、
高層のビルディングみたいな建物になっているそうだ。
これは、加奈崎さんから聞いた。
そのことは、ちょっとだけショッキングだった。
そうか、あの建物、もう ないんだ。
・・・・・・・・・・そりゃそうだよな。
新宿みたいな地価の高いところで、あんな4階建ての建物、いつまでもありえないよな。
最後に俺が戸山ハイツを訪れたのってもう、20年以上前だ。
そうか、もう ないのか。
・・・・・・・・・・・・・・・少しだけ切ない。
俺にとって、「戸山ハイツ」に関することって、
HOLYな(神聖な)色彩を帯びるのです。
そりゃ、少しは「感傷的」かもしれないけどね、
大目に見ておくれよ。