今日も一期一会

「本が好き♪図書館ブログ」のタイトル変更
本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

図書館だより 「Library News 11月号」

2019-11-05 | 司書室より
図書館だより「Library News 11月号」を発行しました。
こちらです→ Google版 Yahoo版
今月号の特集は先日記事にしたばかりの「第73回 読書週間」についてです。

「今月の作家」は、今月3日に85歳でお亡くなりになったSF小説作家の眉村卓氏を取り上げました。
会社員、コピーライターを経て、SF『下級アイデアマン』で認められ作家生活に入られ、
泉鏡花賞を受賞した『消滅の光輪』など、未来社会における組織と個人の関係を描く作品の他に、
『なぞの転校生』『ねらわれた学園』など年少者向けの作品も多く、私も中学生の頃読みました。
『ねらわれた学園』は81年に映画化、
『とらえられたスクールバス』は「時空の旅人」として86年アニメ映画化され、
このアニメ映画のキャラクターデザインは萩尾望都、劇中歌は竹内まりやと、
私世代には超メジャーなスタッフが担当していたのですね!!

また、がんと診断された妻の悦子さんが亡くなるまでの5年間、毎日1編のショートショートを書かれました。
なるべく気持ちが明るくなるように楽しく笑える話を書いて、毎日読んでもらい、
「作家の僕にできることは妻を楽しませること」とお亡くなりになった日まで全1778篇書き続けられました。
余命宣告された妻に向けて楽しい作品を書く、そのお気持ちはどれほど辛かったでしょう。
眉村さんの優しさに心を打たれました。
この実話は「僕と妻の1778の物語」としても映画化されています。
観ようと思っていながら見逃したので、追悼番組としてこの映画をTV放送してくれないかなぁ。。。

謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
合掌




ヴェルディ オペラ 「椿姫」

2019-11-03 | 音楽
文化の日の今日、隣県に新しくオープンした素晴らしいホールまでオペラを観に行きました。

このホールが出来上がるのを楽しみに待っていました♪
以前のホールは60年の歴史ある大きなホールでしたが、いかんせん古くて座席幅もとても狭かったです。
駅の反対側にオペラやミュージカルが出来る規模の立派なホールが鳴り物入りでオープンしたのです。
JR駅からこの「高崎芸術劇場」までは屋根付きのデッキ通路が続いていて、
これなら雨の日も濡れずに到着できるし、人の流れもとてもスムーズですね。
 
赤茶色が基調の大劇場(2030席)は多目的ホールで舞台は間口が28mと国内最大級の広さ!
(右画像は劇場公式HPより)
地上8階、地下1階建ての巨大建築物で、地元の群馬交響楽団の新たな活動拠点としても活用されるそうです。

オペラ観劇は久し振り♪友人といそいそとお出掛けしました。
(我が家から徒歩数分のローカル線最寄り駅から、と思いましたが台風19号の影響でいまだに不通らしい!涙)
今日のオペラはトリエステ・ヴェルディ歌劇場による世界中で人気のヴェルディ「椿姫」、
椿姫役はイタリア・オペラの名花ランカトーレが出演しました。

ファブリツィオ・マリア・カルミナーティ(指揮)
デジレ・ランカトーレ(ヴィオレッタ)
ジュリオ・ペッリグラ(アルフレード)
ドメニコ・バルツァーニ(ジェルモン)
トリエステ・ヴェルディ歌劇場管弦楽団・合唱団

広いホールに朗々とした歌声が響き渡り、マイクを通さない人の生の声の素晴らしさを実感しました。
フォルテで歌い上げる声も、聴きとれないほどのピアニシモの声も、しっかりと響きを持っています。
それから、いつも思うのですが、かがんでいたり、あおむけで寝ていたり、座っていたりしても、
透き通る声でしっかりと歌えるのは本当にスゴイと思います!
主役級3名の歌声はそれぞれの役に合っていて、終演後もカーテンコールが鳴り止みませんでした!
高級娼婦であった「椿姫」は恋におちて普通の暮らしを始めますが、愛する人の逃亡と病で悲劇に終わります。
アレクサンドル・デュマ・フィスによる原作小説に基づいて、
ジュゼッペ・ヴェルディが発表したオペラ原題は『堕落した女(直訳は「道を踏み外した女」)』、
高級娼婦になったことが道を踏み外したか、娼婦なのに普通の暮らしを始めたことがダメなのか、
諸説あるらしいです。
女性の生き方は、古くから難しいものがあったのですね。
それよりも、自分の娘のために無理やり二人を別れさせた舅が一番いけないと思うのですが。。。

オペラの後は、友人と食事しながらおしゃべりに花が咲き、秋の一日を楽しく過ごしました♪

奥田英朗 著 『罪の轍』

2019-11-01 | 本の紹介
今日から11月、最高気温25℃の気持ち良い秋晴れの日でした♪
先月10月の読書は以下の8冊、様々なジャンルの本を読みました。

『さよならの儀式』 宮部みゆき 河出書房新社
『クジラアタマの王様』 伊坂幸太郎 NHK出版
『AIに負けない子どもを育てる』 新井紀子 東洋経済新報社
『カザアナ』 森絵都 朝日新聞出版
『罪の轍』 奥田英朗 新潮社
『元号って何だ? 今日から話せる247回の改元舞台裏』 藤井青銅(小学館新書)
『58歳から 日々を大切に小さく暮らす』 ショコラ すばる舎
『寄りそう猫』 佐竹茉莉子 辰巳出版

すでに紹介した本もいくつかありますが、今日紹介するのは奥田英朗 著『罪の轍』
読んでいる間も、読み終えてからも心に深く残っている作品です。
時代は東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年、
浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ。
刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独――。(以下ネタバレありです)

ある年齢以上の方はきっと知っている、実際にあった誘拐事件をモチーフにしています。
警視庁は電話の逆探知が出来ず、受渡し場所では凡ミスで犯人を取り逃がし、
加えて身代金の紙幣番号も控え忘れていたという警察側の様々な失態。
高リスクの営利誘拐で、なぜか身代金を50万円しか要求しない犯人。
この事件は、今までにない新たな側面を持ち、その後の捜査体制に大きな変革をもたらしました。

この事件で辛いのは、犯人が解離性健忘症で、
その原因は、幼少期、義父に当たり屋をさせられたトラウマだったということ。
残虐な幼児誘拐の犯人は、過酷な児童虐待の犠牲者だったのです。
「悪さっていうのは繋がってるんだ」と語る被疑者の生い立ち、
まるで轍のように罪と罪は繋がっていく、それは仕方のないことなのか?!
と、淋しく悲しく思いながら読了しました。