今日も一期一会

「本が好き♪図書館ブログ」のタイトル変更
本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

映画 『沈黙-サイレンス-』

2017-02-08 | 映画
映画『沈黙-サイレンス-』観ました。
遠藤周作氏の小説『沈黙』を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化したヒューマンドラマ、
予想通り表現も映像も内容も重い作品でした。

キリシタン弾圧が苛烈を極めた江戸時代初期の日本に乗り込んだキリスト教宣教師の物語ですが、
宗教と信仰についてだけではなく、究極の選択を求められた時の人間の内面が描かれていました。
遠藤周作氏の小説が出版された時、カトリックからの反発は非常に強いものがあったそうで、
特に長崎においては禁書に等しい扱いをされたそうです。
映画を見ていても、「キリスト教信者が観たら、どう思うだろう?」と感じてしまうほど、
信者たちへの弾圧と宗教を捨てざるを得ない宣教師や信者の様子は、見ていて辛かったです。

「主よ。あなたがいつも沈黙していられるのを恨んでいました。」
「私は沈黙していたのではない。一緒に苦しんでいたのだ。」

この部分から題名『沈黙』がとられているのでしょう。
信仰を捨てずに命を取られるべきか、信仰を捨てて生き延びるべきか、
登場人物たちのそれぞれの思いが錯綜します。
この映画で久しぶりにその姿を見たのはオーディションで選ばれたという俳優の窪塚洋介、
心が弱くずる賢い「悪人にも値しない男」を大熱演でした。
その他、キャストがイメージにぴったりで、外国人の監督なのに人選が素晴らしいと思いました。
コセッシ監督が着想してから28年、製作に7年かけて完成した大作、3時間があっという間でした!

遠藤周作氏の作品は『海と毒薬』『深い河』も読んで心を動かされた覚えがあります。

「春日大社 千年の至宝」展覧会

2017-02-05 | アート
昨日、上野の東京国立博物館の「春日大社 千年の至宝」展覧会へ行って来ました。
立春の日に春日詣で、春から縁起が良い気がします♪

世界遺産にも登録されている春日大社は、
奈良時代に平城京の守護と国民の繁栄を祈願するために創建されました。
境内の国宝殿には国宝352点、重要文化財971点をはじめとする多くの文化財を所蔵し、
この展覧会に250点が出展され、そのうち100点以上が国宝または重要文化財指定!
奈良まではなかなか行けませんので、友人と誘い合って行ってきました♪

春日大社は昨年秋に式年造替と呼ばれる20年ごとに行われる社殿の大修築を終えたばかりで、
しかもそのは造替60回目というキリの良い節目だったのを記念して、
古神宝の「金地螺鈿毛抜形太刀」の復元や、瑠璃灯籠や狛犬が新調されたりしたそうです。
その太刀は螺鈿で竹の枝と雀、それを追う猫が描かれ、金粉による蒔絵が施され、
柄やツバなどの金具も極めて純度の高い金から彫り出されているそうで、見事でした!!
 
春日大社といえば3000基を越す燈籠で有名ですが、これら燈籠も展示されていて撮影可でした。
「平安の正倉院」と呼ばれる王朝工芸の名宝、
「神の使い=神鹿(しんろく)」として大切にしてきた鹿の絵画や工芸品、
貴重な中世の刀剣類、武器武具、春日信仰にかかわる絵画・絵巻物・書物・彫刻、
日本の芸能の原点でもある神楽、舞楽の面、装束などの名品の数々に圧倒されました!

本校図書館に入れている雑誌『芸術新潮 2月号』の特集が春日大社です。

また、奈良、鹿、銅鏡、神事、…と展示物を見ていたら、
TVドラマ化もされた万城目学さんの小説『鹿男あをによし』を思い出しました。

ランチは「レストランレインボー」、東京會舘運営の浜松町にあるフランス料理店で♪
世界貿易センター39階、地上150mの高さでお食事しました。
40階の展望フロア入場券付の特別コースメニューです。
デザートは残念ながらあの「マロンシャンテリー」ではなかったので、またのお楽しみに♪

・前菜:キノコのキッシュ スモークサーモンムースのアクセント 蕪のフラン トリュフ風味
 
・スープ:コーンポタージュスープ
・主菜:お魚…白身魚のポワレ 小海老添え ポテトと野菜のクリームスープ仕立て
 
    お肉…ビーフリブロースステーキ 温野菜添え ペッパーソース
・デザート:ガトーショコラとレモンシャーベット プティフルーツ
・コーヒー
 
40階展望フロアからは東京を360℃見晴らせ、
すぐそばの東京タワーからスカイツリー、お台場、皇居まで見える素晴らしい眺望でした!

西 加奈子 著 『i(アイ)』

2017-02-03 | 本の紹介
今日は節分、立春の明日から本当の意味での新しい年が始まります。
1月の読書は以下の9冊、このリズムで今年も年間100冊読了を目指して読書したいです。

holyの本棚 - 2017年01月 (9作品)
赤へ
赤へ
井上荒野

読了日:01月05日

静かな雨
静かな雨
宮下奈都

読了日:01月16日

ツバキ文具店
ツバキ文具店
小川糸

読了日:01月25日

i(アイ)
i(アイ)
西加奈子

読了日:01月31日

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『また、桜の国で』はすでに記事にしており、他も読み応えのある良い作品が多かったです。

今日取り上げるのは、西加奈子著『i(アイ)』(ポプラ社)、本屋大賞候補作にもなっている話題作です。
作品冒頭の文章が「この世界にアイは存在しません。」
この言葉が主人公に大きな衝撃を与え、最後まで作品のキーワードになります。
表紙はいつも作身が描くのですが、先日TVでこの作品が特集されているときに実物が映されていました。
主人公は、アメリカ人の父と日本人の母のもと、養子として育てられたシリア出身の女子高校生で、
裕福な家庭での幸せな境遇に幼い時から罪悪感を抱き、成長してますます自己のアイデンティティに苦悩します。
これに、ニューヨークの9.11、国内のヘイト問題、シリア難民のニュース、東日本大震災、LGBT、等をからめ、
個人の幸せと全体の幸せ、愛や正義、そもそも幸せとは?など、読んでいる間中考えさせられる作品でした。

西加奈子さんの作品を今まで何冊か読みましたが、どれも一筋縄ではいかない!
若いのにすごい作家さんだと思います。

図書館だより「Library News」 2月号

2017-02-01 | 司書室より
つい先日、年が明けたような気がしていましたが、今日から2月、今年も早や1ヶ月が過ぎました。

図書館だより「Library News」2月号を発行しました。
Yahoo版 Google版にアップしました。
3年生は受験組以外はまだ登校していて、卒業試験は再来週から、今月下旬から全コースで自宅研修に入ります。

今月号の特集はブログですでに記事にしました「第156回芥川賞・直木賞発表!!」として、
芥川龍之介賞の
・山下澄人さん 『しんせかい』 (新潮社)
直木三十五賞の
・恩田陸さん 『蜜蜂と遠雷』 (幻冬舎)
を紹介しました。

「今月の作家」として、野上弥生子(のがみやえこ)氏(冒頭画像)を取り上げました。
今年のセンター試験国語科の現代文(小説)の出典が1912年に雑誌「ホトトギス」で発表した
野上弥生子 著『秋の一日』で、4年連続女流作家の作品からの出典となりました。
100年以上前の文章ですが明治以降の作品は現代文なので、生徒にとっては範囲が広いです。
私は今まで野上さんの作品を読んだことがないと思っていましたが、
80歳間近にして発表し女流文学賞を受賞した『秀吉と利休』(1963)は知っていました。
明治から昭和を生きた女流小説家。
法政大学女子高等学校名誉校長も務め、
「女性である前にまず人間であれ」の言葉も残し、女性教養人の先駆者とも言えるでしょう。