映画『沈黙-サイレンス-』観ました。
遠藤周作氏の小説『沈黙』を、巨匠マーティン・スコセッシ監督が映画化したヒューマンドラマ、
予想通り表現も映像も内容も重い作品でした。
キリシタン弾圧が苛烈を極めた江戸時代初期の日本に乗り込んだキリスト教宣教師の物語ですが、
宗教と信仰についてだけではなく、究極の選択を求められた時の人間の内面が描かれていました。
遠藤周作氏の小説が出版された時、カトリックからの反発は非常に強いものがあったそうで、
特に長崎においては禁書に等しい扱いをされたそうです。
映画を見ていても、「キリスト教信者が観たら、どう思うだろう?」と感じてしまうほど、
信者たちへの弾圧と宗教を捨てざるを得ない宣教師や信者の様子は、見ていて辛かったです。
「主よ。あなたがいつも沈黙していられるのを恨んでいました。」
「私は沈黙していたのではない。一緒に苦しんでいたのだ。」
この部分から題名『沈黙』がとられているのでしょう。
信仰を捨てずに命を取られるべきか、信仰を捨てて生き延びるべきか、
登場人物たちのそれぞれの思いが錯綜します。
この映画で久しぶりにその姿を見たのはオーディションで選ばれたという俳優の窪塚洋介、
心が弱くずる賢い「悪人にも値しない男」を大熱演でした。
その他、キャストがイメージにぴったりで、外国人の監督なのに人選が素晴らしいと思いました。
コセッシ監督が着想してから28年、製作に7年かけて完成した大作、3時間があっという間でした!
遠藤周作氏の作品は『海と毒薬』『深い河』も読んで心を動かされた覚えがあります。