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追悼 金子兜太 氏

2018-02-22 | 本の紹介
一昨日、前衛俳句の旗手として活躍し第二次大戦後の俳壇をリードされた俳人の金子兜太(かねこ とうた)氏が、
お亡くなりになりました。
1919年大正8年埼玉県小川町生まれ皆野町育ち、享年98歳でした。

東京帝大(現東京大)経済学部卒業、在学中に加藤楸邨に師事されました。
1943年日本銀行に入行しますが、直後退職して海軍経理学校に入り、太平洋のトラック島で終戦を迎えます。
その後1年半の捕虜生活を終えた後、戦後日銀に復職されましたが、
労働組合の活動に熱心で常に弱い者の味方であったため、銀行では閑職に追いやられました。

埼玉県に生まれ育ち、その後、各地に転居されますが昭和40年代からはずっと熊谷市にお住まいで、
熊谷市の名誉市民にも選ばれていらっしゃいます。
お住まいは我が母校の女子高校の近くであったようで、私の最初の勤務地もその近くだったので、
もしかしたらどこかですれ違ったりしてお会いしていたかもしれません。
熊谷市にはいくつか句碑が残されており、氏の母校である熊谷市の男子高(当時旧制中学)にもあるそうです。

本校図書館にある『金子兜太 自選自解99句』(角川学芸出版)を読みました。
金子兜太氏の代表句99句を自選され、ご自分で解説し、色紙に筆書きされた句と並べて編集されている、
とても興味深い作品でした。
それ以前の自然を詠む「花鳥諷詠」の伝統にとらわれない前衛俳句の面白さ、
戦争を許さないという強い気持ち、秩父地域や熊谷などゆかりの地の風土に根ざした数々の俳句、
金子兜太氏の人生が詰まっている俳句の数々に心を打たれました。

水脈(みお)の果て炎天の墓碑を置きて去る
曼殊沙華どれも腹出し秩父の子
利根川と荒川の間(あい)雷(らい)遊ぶ

謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
合掌

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