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江國香織 『抱擁、あるいはライスには塩を』

2012-01-25 | 本の紹介
ここしばらく、この本にかかりきりになっていました。

江國香織 著 『抱擁、あるいはライスには塩を』

1年ほど前に出版された本ですが、その厚さに(600ページ!)ちょっと躊躇しているうちに、
いつしか忘れ・・・
先日、公立図書館へ行った時に見つけ「これ、読もうと思っていたんだ!」と借りてきました。

東京神谷町にある大正期に建築された洋館に暮らす柳島家の三世代百年に渡る物語です。
貿易商の祖父、ロシア革命の亡命貴族である祖母、
「子供は大学入学まで自宅学習」という教育方針の変わり者の両親、
独り者の叔父と出戻りの叔母、
4人の姉兄弟(うち2人は父か母が違う)の計10人で暮らす日々が描かれます。

この作品の変わっているところは、時の流れとはバラバラに章立てされてストーリーが成り立っているところ。
目次を見るとこんな風です。


時代、場所、語り手をかえて重層的に綴られる、一見「幸福な家族」の物語になっています。
各章ごとに語り手が変わり、時代が行きつ戻りつし、
複雑な「人物関係図」を自分で作ってそれを見ながら読んでいました。

取り立てて派手な出来事はありませんが、巧妙に並べられた各章をたどっていくうちに
柳島家という大きな家の中での一人ひとりが抱えている過去や思いが垣間見えてきます。
時間の流れが前後することで、ある事象の原因が後からわかるようになっています。
この作品の江國さんの文章は美しく、その情景や人物や香りまでが浮かんでくるようで、
すっかり「柳島家」に取り込まれました。

タイトルも変わっていますが、これは作品の中で家族の合言葉のように使われています。
作者インタビュー記事によると、この作品に主人公となる人物はいず、
家そのものが主人公なのだそうです。

この本で今月は7冊読了です。
なかなかいいペースかな♪

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