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本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

池井戸潤 著 『空飛ぶタイヤ』

2018-09-13 | 本の紹介
池井戸潤 著 『空飛ぶタイヤ 上・下』(講談社文庫)読了しました。
池井戸作品ならではの最後の勧善懲悪ぶりに、読後感は思い切りスッキリーーー!

今年映画化され映画は見ていませんが、原作をまだ読んでなかったなぁと思い、
もう十数年前の作品でしたが手に取りました。
2006年の吉川英治文学新人賞と直木三十五賞の候補作となりました。

作品はタイヤ脱落事故と大手自動車メーカーのリコール隠しをテーマにした社会派小説、
実際に起こった脱輪による死傷事故と自動車会社のリコール隠し事件などが下敷きとなっています。
某財閥系の大企業グループ挙げての隠蔽に対抗する運送会社経営者の大奮闘、
最後はきっと正義が勝つ!とわかっているのに、読み終えるまでハラハラドキドキでした。
大企業役員の悪者ぶりが読んでいてムカムカするほど、
映画では岸部一徳さんが演じたらしいですが、きっとはまり役だったことでしょう。

大企業の鎧に守られながら自分の立場(役職)とお金のために働いているサラリーマン、
目の前の物を取り扱いながら仕事に誇りと誠実さを持って働いている中小企業の労働者、
その対比が絶妙に描かれ、正義は勝つ!に向かっていきます。
最後はマスコミや警察も味方に付け、大団円に終わって清々しい気分でした♪
これだけ長編だと映画では良さが描き切れないかな、と映画は観ないことに。
(先日の映画「検察側の罪人」が後を引いています。)
WOWWOWでは2009年にドラマ化されたようですが、地上波でやって欲しかったです。

でも・・・
その後、実際にあった事件を調べてみると、このようにハッピーエンドで終わってはいませんでした。
運送会社は倒産、経営者はその後の就職先で大怪我をし、悪徳弁護士が賠償金を持ち逃げ、
逮捕された数名の役員は執行猶予付きの実刑と罰金はたったの20万円…。
なんだか現実の厳しさと社会の闇を思い知らされた嫌な気分です。