カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

シリアスな中にコメディあり   偽りの隣人・ある諜報部員の告白

2024-05-23 | 映画

偽りの隣人・ある諜報部員の告白/イ・ファンギョン監督

 韓国の過去の民主化運動や、実際に大統領候補(金大中)が誘拐後軟禁された事件をモチーフにした映画だという。全体的な流れとしては、そういう民主勢力を弾圧する与党勢力の暴力を描いている訳だが、どういう訳なのかコメディタッチのサスペンス描写が多くて、ちょっと変な感じの娯楽作になっている。良くも悪くも韓国映画で、感情はひどく揺さぶられる訳であるが……。
 そのようにして自宅軟禁している大統領候補の家に、盗聴器を仕掛けてその会話から情報を聞き出そうとしている諜報機関の一員に、ある男が抜擢される。当初は国の責任ある仕事として張り切ってやっていた(とはいえ盗み聞きという卑怯な任務だが)わけだが、実際にこの政治家家族は家族愛が強く、特に民主勢力の政治家は志が高く、真に国民のしあわせを願うような立派な人物であることがだんだんと分かっていき、逆にシンパシーを感じるようになっていく。しかしながら国家権力は強大で、なおかつ韓国であるから卑劣で残酷な手をいくつも仕掛けてくる。それを黙ってみていることしかできない自分の役割に、だんだんと疑問が出てくるという訳だ。
 何人かは韓国俳優として見たことがあるような人は出てくるわけだが、僕のふだん見ている韓国映画の系列とは、また別の布陣という感じもする。脇役や悪役は知っているが、主役級はよく分からんというかんじ。コメディ描写が多いので、そういう俳優の演じる意外性が自国韓国の人ウケ狙いはあるのかもしれない。内容的にいうと、これだけの政府側の悪事が続くのであれば、後の民主化も当然という流れである。しかし現実社会を見ると、あちらの民主化は結局権力闘争の力の行き来なのであって、王様がどう変わるかだけの事のようにも思えるが……。日本のように民主と政治が無関係なのもどうか、というのは置いておいての話になるが。
 いわゆるてんこ盛り映画で、楽しかったり悲しかったり忙しい。結末は分かっているけど、水戸黄門みたいに楽しむというのが、基本的なスタイルなのかもしれない。まあ、娯楽作というのは、多かれ少なかれそういうものなんだけれど……。
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