カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

本格推理小説の入り口   そして五人がいなくなる

2024-05-20 | 読書

そして五人がいなくなる/はやみねかおる著(講談社文庫)

 三人姉妹のお隣の洋館に住んでいる夢水清志郎は、名探偵である。夏休みの遊園地で、天才と謳われた各分野の子供たちが、何故かフランス語を扱う伯爵と称するマジシャンに、次々と消されて誘拐される事件が持ち上がる。この謎をすべて解いた、という割に、名探偵夢水は何にもしないのだった。いったいそれはどうしてなのだろうか?
 という物語。途中で謎というか、事件の動機は分かる。児童文学というか、いわゆる子供向けのミステリ小説で、随所にユーモアと笑いがちりばめてあり、そういう仕掛けの文章を楽しむものであるようだ。三人姉妹のキャラクターや、名探偵夢水の行動も面白いし、刑事さんも犯人も皆ユーモアたっぷりである。あえて言うとわざとらしいのだけど、そういう世界観なんだから仕方ないのである。
 著者のはやみねは、たくさんの著作があるようだが、本作品が本シリーズの最初のもので、当時は小学生の先生をやりながら執筆していたという。本作品などが読まれたことから、専属になっていったのだろう。僕より少し年上の人らしいので、僕にはなじみが無かったのは、僕の子供時代には無かった所為だろう。なので、若い世代の子供時代に、人気を誇った作家さんということらしい。
 巻末に解説以外に、本人が読んできたブックガイドがついている。著者は子供にもっと本を読んでもらいたいという思いがあって、自分でも書いたということのようだ。まさに読書の入り口にある人であるのかもしれない。僕は遅れてやって来たということになってしまうが……。
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