カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

恋は苦しみをもたらす   苦い涙

2024-05-02 | 映画

苦い涙/フランソワ・オゾン監督

 著名な映画監督の男のところに、友人の女優が美青年を連れて遊びに来る。その青年の美しさにすっかり参ってしまった男は、自分と一緒に住まわせて、俳優として活躍するように様々に画策する。そうして俳優として人気の出た青年は、だんだんと監督の男を翻弄していくようになるのだった。
 恋に落ちた人間の苦悩を延々と見せる演出のコメディ。おそらくだが、同性愛だからこそ面白い、という事なのかもしれない。男は過去に結婚もしており、娘もいる。彼女らが遊びに来ても、美青年のことから頭が離れず、醜態をさらす。皆がこの男にあきれ果てているが、著名なうえに金銭も持っているのだろう。いわば男の激しい嫉妬の嵐に巻き込まれながらも、哀れであり、男を慰めたりしている。それでも映画監督は才能も有り、それを利用するというか、関係性が切れない者たちが周りを囲んでいる訳である。
 非常に評判の高い作品で、これを年間の上位作品に推す記事も読んだりした。だから楽しみにして観たというのがあるのだが、まあ至ってたいしたことのない出来栄えである。面白さがあるのかもしれないが、いたって当たり前というか、さして抜きんでたものではない。普通であり平凡であるとさえ感じる。確かに監督は哀れだが、そもそも恵まれてもいる人間で、ふつうに付き人の扱いもひどいし、最初からなにか傲慢で、共感を持てるような人物ではない。そういう人がいくら困ろうと、別段僕らは困らない。それは日ごろの自分の行いに対する罰のようなものかもしれないし、ある種の自業自得である。要するに演出がダメなのではあるまいか。
 まあ一定の批評家の高い評価のある作品というのは、総じてダメなものが多い。困ったことだがそれが現実であるから、こちらも防御線を貼るべきかもしれない。しかしながらたまにはいい作品の紹介もあるわけで、見極めが難しい。今回は、そこそこではあるものの、騙されてしまった不運を恨むより無いのだろう。
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