オールド/M・ナイト・シャマラン監督
南国へ家族とともにバカンスに来た人たちが、ホテルの計らいでプライベートビーチへ招待される。そこは確かに素晴らしい景観の場所だったが、切り立った断崖に囲まれた不穏なところでもあった。何かの秘密が隠されているらしいが、どういう訳か、時間の経過が著しく早く進んでいるようなのだ。そこに連れてこられた人々もそれぞれに問題を抱えており、人々は次々に非業の死を遂げていくことになるのだった。
シャマラン監督の映画なので、妙なことになることは必然である。しかしながらいくら何でも麻酔無しで手術が行われたり、車でやって来たのに出られなかったり、どこかなんだか破綻しているような気がしないではない。まあ、付き合って観ることにはなるし、面白いような要素はふんだんにあるのだが、どこか作りものめいたチープさのようなものが、どうしても露呈してしまう。それがシャマラン監督作品の魅力であるとはいえるが、そういう変なものに付き合っている自分に目覚めてしまうと、途中で挫折してしまいかねないと思われた。結論としてはそれなりにまとまっているし、サスペンスもそれなりに楽しめるが、だからそれらは、付き合いとしてそういうものだという了解の上に成り立つものであるだろう。
それというのも、現実にそのようなビーチが存在するのであれば、やはり使い道がありそうにも思うし、実際にもっと話題になって、これを体験するのはリスクが大きいが、興味をもって研究する人が絶えないに違いないのである。それほど大きな仕掛けと可能性があるように感じられる。だから映画として使われたのだ、という理屈は成り立つかもしれないが、事件としての取り扱いの大きさは、全世界をめぐるものになるのではないか。要するに、肝心のリアリティのようなものというのは、そういう前提があってのものではないだろうか。
しかしながら、そのようなちょっとしたオカルトチックな題材を毎回探して来ては映像化する作家性というものについては、世界中にファンがいるだろうことからも明らかなように、シャマラン監督の宿命なのかもしれない。また怪しいものを思いついたら、資本を投じて作品化して欲しいのも事実だ。やはりそれはこれまでの作品群に優れたものがあったからで、ずばりそういう期待感だ。だから次回作もまた観てしまう。これをシャマランの呪縛と呼ぶことにしよう。