ラ・ブーム/クロード・ピノトー監督
13歳のヴィッグは、週末に友人宅で開かれるパーティに出かけて、そこにいたマチューと恋に落ちる。多感な時期のティーンエイジャーの私生活と、両親の浮気問題などを描いた青春映画。
1980年代の当時、僕も中学生でこの映画の社会現象と化した大ヒットを目の当たりにしていた。とにかく大変な騒ぎになって、何でもかんでもソフィー・マルソーって感じになっていた。それは「セーラー服と機関銃」が始まるまでずっと続いていたのではなかったか。
時を経て改めて見直してみると、あんがい地味なつくりの映画という感じで、かえって驚いてしまった。当時は中学生なのにバイクに乗っていたり、他人の家で夜遅くまで騒いでいたり、いくらフランスだとはいえ、性的に成熟しすぎであるような印象を受けたものだが、今の日本とだと、これくらいではたいして驚かないことばかりである。本当に時代の方が変わってしまったというべきか。
好きになった男の子の気を惹きたい気持ちが強いが、目の前にすると何もできない。しかし恋の駆け引きはいろいろと考える毎日で、お互い勝手に嫉妬して騒動が起こったりする。親たちの浮気騒ぎもあるが、どちらかというと母親の方が奔放という気もする。そもそもフランスでは、女性上位の考え方があるのかもしれない。そういうのはかえって上っ面という気がするのは、やはり時代かもしれない。
学生生活のエピソードはそれなりにつづられていて、そういうもののギャグの連鎖で、いわば小話の継ぎ合わせのような映画だったのだと気付かされた。当時はあんまりそんな風に感じていなかったが、こういうギャグは、あんがいドリフのコントなんかでも見たような気もする。そういう分野でも影響があったのかもしれない。
フランス人だけど、どこかアジア的な可愛らしさにあふれるソフィーのための映画であることは確かで、ここまで社会現象化するとまでは予想できなかったかもしれないが、今でもこういう子が出てくると、それなりに話題になるのではあるまいか。歌も大ヒットして、しばらくはあちこちで聞かれて、いささか食傷気味になったことも思い出した。そういう意味では、ものすごい影響力のある作品なのだった。