漫画は嫌いではないし、アニメにも偏見はない。しかし、僕らの時代にはふつうに或るサブカルといわれる文化に対しては、ちょっとした距離感もある。その代表的なアニメ作品というのには、たぶんエヴァンゲリオンがあると思う。僕の青春時代のど真ん中にありながら、それも僕はサブカルとかなり近い人間、親和性のある人間、でありながら、しかし、エヴァとは相性が悪いのである。何故なのかは考えたこともない。
僕より先輩たちのアニメで,そう興味が無かったものにガンダムがある。僕は永井豪も嫌いではないし、マジンガーZなんてものには、ふつうの面白さを感じていたはずなのだが、しかし、ガンダムには退屈さがどうしてもあって、挫折した。僕が言っていることに共感なんてないのは分かっているが、それでもその後の出てきたエヴァには、観ていて退屈すぎて、どうしても途中で寝てしまうという事がつづいてしまい、結局のところまともにさえ見られないのであった。
僕は石ノ森章太郎の漫画も好きで、子供のころによく読んでいた。しかしながらそれらの漫画の主人公の悩みについては、今一つピンとこないものが多かった。それというのも、石ノ森の描く主人公たちは、自分の持つ特殊能力について、時折ひどく悩むのだった。超能力者であっても悩むし、サイボーグであっても悩む。アンドロイドであっても悩む。いわゆるマイノリティとして、普通でない自分をなかなかに認められないのである。しかしながら漫画を読んでいる多くの少年たちは(僕の想像に過ぎないが)、彼らの持っている特殊能力こそ魅力的であり、叶うものならば、自分も獲得したい能力なのだった。だから彼らのような悩みというものは、基本的に贅沢なものなのであり、ちっとも共感できるものではなかった。
そうしてそういうものの基本を踏まえて最新映像でかっこいい戦いに臨んでいるエヴァの内容においても、なんだかグジグジしている主人公にあきれてしまうのだ。そういう葛藤というのは何かの比喩なのかもしれないが、そういうことを打開したいという男の子の欲求こそ、暴力なのでは無かったのか。
よく分からんが、そういうことを分からないままにアニメは卒業してしまって、共感を知らないままに育ってしまったのかもしれない。それは、もしかすると、残念なことだったのだろうか……。