カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

自分なりに整理をつけてみよう   ビジランテ

2019-11-21 | 映画

ビジランテ/入江悠監督

 いきなり親からの激しい折檻なのか虐待なのか、という場面。父殺しに失敗した兄弟が、その凶器を川岸に埋めようとしていたらしい。その後暴力は続き、一郎はたまらず家出したまま遁走する。そして月日は流れる。
 今度はその暴力おやじの葬式の場面。政治家か何か街の実力者だった様子。次男のおとなしい二郎が市議会議員になっている。そうして街の実力者議員との間に取り込まれるような立場でいるようだ。残された土地に巨大アウトレットモールが進出してくる計画があるらしく、その利権をめぐって取りまとめる立場になっている。三郎も近くに住んでいるようで、女性の売春あっせんに関わるチンピラのようなことを生業にしているようだ。そういう時に実家に誰か女連れの男が入ってきて、売却予定地に進入禁止の立て看板を立てたりする。要するにこれが長男の一郎であるらしい。土地の売買には闇社会の取り立て屋も絡んでいる様子だし、不法で占拠して暮らしている中国人コミューンの問題もある。地元民とも微妙な関係でもめており、議員である二郎は地元の自警団組織の中で、そのような力関係の調整を余儀なくされている。しかし住民憎悪は暴力の連鎖を呼び、売却予定地をめぐり闇社会も暗躍していくのだった。
 いろいろ絡めてあるが、幼いころに支配的に暴力で苦しめられた父のせいで分断してしまった兄弟たちの苦悩が描かれている。であっても暴力でしかふれあえない状況にあるようで、詳しい現在の様子はよく分からないのだが、それぞれの大変に苦しい立場に置かれていることに間違いなさそうである。計画を進めようとする議員から声のかかったヤクザたちは、より強硬な手段で、チンピラではあるが特に一番人のよさそうな三郎を追い込んでいくのだったが…。
 エロシーンも不必要に多いし、ヤクザ的な暴力も満載である。一定の緊張感のためかもしれないが、進行上多少めんどくさい。性も暴力の象徴を描いているわけだが、しかし女性の方の欲望が良く描かれていないので、あくまで性処理の道具のような感じかもしれない。二郎の様子だけは、この影が描かれるが、だからと言って彼の実力が本当に上がっているようには見えない(孤立していくし)。少しごちゃごちゃしたものに整理が必要な感じで、後半はだらだらしてしまうのだった。
 血もたくさん出るし気持ち悪いしエロもあるということで、これは家族で楽しめる作品ではない。一人で見ても気分が上がるものではないし。こういう人間関係の中、個人の運命もゆだねられるらしいな、ということで自分なりに整理してみる必要のある映画なのかもしれない。
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