さよならの朝に約束の花を飾ろう/岡田磨里(磨の字は別の字体)監督
見た目は十代のまま何百年かの寿命のある種族は、機織りの特技があり、他の部族とは交わらず山村で暮らしている。ところがこの長寿の血を交えることを目的とする王族が襲撃してきて、部族は散り散りになってしまう。その中の一人は偶然人間の子供を拾ってしまい、そのまま育てることになる。
子供は成長するにつれ、見た目は自分と同じ世代、または年下のような母に戸惑うようになり、母は本当の自分の子供ではない子の成長に苦しみながら育てていく。生きていくためには働かなくてはならないし、特殊な種族である宿命で表面的には隠れていなくてはならない。二人の運命はどうなっていくのだろうか。
設定はSF的だが、本当に子育てに特化したドラマ展開である。アニメーション的な神話の動きのある場面も多いが、しかしアクションを主体とした話ではない。恋愛もあるが、これも中心ではない。妙な設定で苦労するが、しかし子育ての苦労はそうでない場合と、そう違いはないのではないか。そういう意味では、あんがい普遍的なテーマなのかもしれない。
悪い話ではないのだが、後半はちょっと強引なお涙頂戴にはなる。悲しいのは確かだが、仕方ないような気もする。僕のような冷たい人間向きのお話ではなかったかもしれない。