カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

すれ違いの原因こそ見直されるべきだ   君の名は

2019-11-15 | 映画

君の名は/大庭秀雄監督

 3000万人が観たといわれる三部作。もとはラジオ番組だったものを映画化したらしい。主人公真知子を岸恵子が、春樹役を佐多啓二が演じた。
 正直に告白すると、母がレンタルして観ていた第一部の終わりころから一緒に観た。それぞれ別に三部作が公開されたそうだけど、そんなに長い必要が果たしてあるのか疑問に思うほど長い。戦争中の東京大空襲の夜に偶然一緒に避難した男女が、半年後にまた同じ場所で再会を約束して別れたまま、なかなか会えず結局一年半後に再会できる。しかし真知子のほうはすでに婚約しており翌日に結婚するという設定なのである。最初の段階で連絡先を明らかにしなかった失敗が、長く続くこの悲劇を形作ってしまったようだ。まったく馬鹿なカップルである。
 他の男を愛したまま結婚したために、夫からは激しく嫉妬され理屈ではいろいろ言われるが、意地悪された上に別れてもらえない。姑からも激しくいじめを受け苦しむ。それはそれで気の毒ではあるが、最初から心がないのだから悪いのは真知子という気もする。とうとう逃げ出すが、実は妊娠しており、やはり春樹からは夫のもとに帰るように言われる。ひどい男である。仕方ないので自殺未遂を起こし、死ねないが流産する。そういうことで離婚の話を進めると、夫は意固地になっているので裁判になっていろいろ理屈がこねまわされて別れられない。春樹のほうは情熱的な女性に惚れられ、結局その女性とその女性を好きな男と二人の人間を自殺に追い込む。要するにこの二人も不幸だが、この二人に巻き込まれた関係者も、みな不幸に巻き込まれるという物語である。
 というわけで、いろいろ面白いのだけど、同時にいろいろと考えさせられる内容である。真知子はあまり自己主張をしないタイプで、そのためなのか病的になっていくような印象も持った。結局死にそうになってひやひやするのだが、そのままだと物語が成り立たない。恐ろしい結末といえるかもしれない。
 確かに現代社会であれば、法律などの問題からしてこのようなすれ違いメロドラマは成り立たないのかもしれない。肉体関係はぼかしてあるが、ふつうこれは不倫である。確かに妙な家庭に嫁いだという不幸はあるが、根本には精神的な裏切りがあるためのような気もする。確かに出会ってすぐにナンパするのでは軽すぎる印象はあるのかもしれないが、そもそも運命の出会いなんだから、最初が肝心なのである。この映画を教訓として、みなもっと勇気をもって出会いを考えるべきなのであろう。
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