カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

生きていくにはやり方がある   苦しかった時の話をしようか

2019-11-23 | 読書

苦しかった時の話をしようか/森岡剛著(ダイヤモンド社)

 帯にUSJ復活の立役者が教える「自分をマーケティングする方法」とある。また副題に、ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」ともある。以前に我が子に向けて仕事の心得を書いたものがベストセラーにもなっていた記憶があるが、これは著者がマーケターという職業であることから、いわゆる合理的にこれから就職する娘に充てて、どのように仕事をして生きていくべきかを説いた本である。娘が独り立ちして就職先を選び、さらにどのような働き方をしたらいいものか、父親として気にならないものはいないだろう。しかしながら一般的には、やはり精神論になりかねないことをいうしかないようにも思う。娘とはいえ自分とは違う人格の別の時代を生きていく人である。そうではあるが、実は有効に生きられるマーケティングの手法を使ったやり方はある。要するに、娘個人に向けた話が、多くの若者を含めた人々にも有効な話になるという本である。
 マーケティングの手法は、まあ、いいだろう。自分の特性や強みを見極めて(要するに現状を正確に把握する)、誰のため何のために何をする、というポイントを明確にして、そのために日々ハードワークして自分を磨いていくことが、キャリアを積むということなのである。まあ、細かく書いてあるので、勉強になります。
 世のなかというのは残酷で不平等だ、という現実を理解しなければならないこと。結局人の欲が原動力になって、物事は動いていること。当たり前だがそういう厳しかったり汚かったりする中で、僕らは生きていかなくてはならない。
 さらに当然自分自身の経験した、いわゆるハードな体験談が語られる。非常に優秀だったからこそ成功を手にした著者だが、猪突猛進型はいいが、コミュニケーション力が不足しており(これも環境的に仕方ない面もあるようだが)様々な苦しい思いをしながら経験則を増やし、キャリアをパスしていくのだった。米国での体験など、かなりぎりぎりの精神状態に陥りながら踏ん張ってきた記録であった。苦労するのは仕事だけではないのである。
 横文字が多かったり、いわゆる単なる自慢話も無いではないが、まあ、すごい人なんだからそれもいいだろう。文章にはユーモアもあるし、これまでの日本人のビジネス書っぽい傲慢さは少ない。それに素直に勉強になるし、とにかくやる気にもなるだろう。想定は若い人向けという体裁だが、若くなくても、例えば今何をやりたいかということさえ明確でない人であっても、これを読んだら何かを見つけることができるのではないか。そうしてそれに向けて頑張れば、いい人生に巡り合えるのではないか。ということで、これから頑張ろうという人が読むと為になる本である。そして、みんな頑張ろう。
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