自分を強くする 動じない力/荒谷卓著(三笠書房)
副題なのか、「面白いくらい実力を発揮していく7つの法則」とも書いてあるし、実際に大きく七つの章を割いて説明してある。著者は武闘家でもあり、元自衛官でもあるそうだ。極度の緊張を強いられる訓練等に従事した経験上の話と、心構えや実際の体の使い方や計画性などについて解説されている。内容はそんなに堅苦しいものではなく、なおかつ訓示的な教条主義的なものでも無い。平易に書かれているうえに、それなりに実践的であるという実感の伴う内容だった。読むだけでいいわけではないだろうが、仕事の上で緊張を強いられる場面においても、すぐに使えるものなのではなかろうか。
後半になって初めて自らの体験談が出てくるが、ある意味命がけで自分の意思を通してきたような自負のある人のようだ。もともと強い人ではあると見て取れるものの、そういう強さを活かす方法も、考えながら生きてこられたということなんだろう。腹を据えて構える所作などは、やはり武闘的な精神論が、様々な場面で有効であるということなのだろう。
書かれていることで面白いのは、結果的に勝つということとか、成功するという目的にこだわっていないことかもしれない。この本を手にするだろう多く人の目的には、そのような強さのもとに、結果的に成功するとか、うまくいくことを念頭に置いている可能性が高いように思われる。しかし、そもそも、そういうことに囚われないことこそ、もっとも重要な心構えであることが分かるはずだ。そういうことの後に、成功などの成果が表れる、ということにつながっていくのだろう。
そういう実践の人になれるかどうか、試しに読んでみてはどうだろうか。