カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

コールドヌードル・イン・サマー

2018-08-09 | 

 夏に冷たい麺を食べる習慣は、あまり海外では無いという。冷たい料理は手抜きという印象もあるだろうし、中国などは体に悪いともされている。日本には刺身の文化もあるし、冷たい食材に抵抗があまりないのではないか。さらに湿気が多く、夏は暑い。そういうときに冷たいものがありがたいというのはありそうだ。トコロテンのようなおやつもあるし、宮崎には冷汁という食べ物もある。冷汁とまでいかなくても、冷えたみそ汁での猫まんまなどは、夏に限らずそこまで抵抗は無いのではないか。
 いや、麺の話だ。夏になると熱いラーメンはちょっとな、という気分になる。店先に「冷やし中華あります」と表示が出ると、おおっと身を乗り出したくなるのは確かだ。ざるそばでもいいが、もっと清涼感が冷やし中華にはある。もっともキュウリやトマトが苦手だという意見も聞いたことがあるが、嫌いならのけて食べたらいいのではないか、と思う。もったいないのなら、最初からそう言って作ってもらえるのではないか(料金のことまでは知らんが)。
 村上春樹のエッセイで、夏は冷麦だ、というのがあった。それもハワイに持って行って食べるのだそうだ。僕はそれまで冷麦とはなんだか知らなかった。さらにそんなものをハワイで食べるというのはどういう事だろう。すっかり面喰って素麺にすればいいのに、と思った。しかし乾麺は旅行鞄の中で折れたりする心配はないのか。折れても食べられはするだろうけど。
 素麺である。ソーメンという感じの方がふさわしいか。これを何把も解いてゆでてもらう。今ではそんなことできないから、若いっていいなという感じだろうか。麺つゆには、ネギだの紫蘇だの生姜だのミョウガだの薬味をたっぷり入れる。ソーメンは当然氷と一緒にガラスのボールなどに冷えている。ざるで取ってある場合もあるが、これは、水につけてある方がいいように思う。もちろん麺つゆが薄まるので、時々つゆは足す必要もあるが。
 夏の渓流の小屋などにいくと、テーブルの上で水流がくるくる回るやつがあったが、今もあるんだろうか。轟渓谷とか龍頭泉ならいまだにありそうだと思われるが、どうだろう。たぶん熊本や鹿児島にも残っていると勝手に想像する。あれも楽しいが、まあ、家ならそこまでする必要はない。また竹を切って流すというのも行事であるが、外も暑いし、そこまでしなくても良い。子供が喜ぶからやるんだろうけど。
 ソーメンには確かに高級だとかそうでもないのがあって、このあたりだと有家あたりの寒い時期に作ったものが最高とされる。そういうのにあたっているのかどうかは分からないが、時々非常にコシが強くて素晴らしいものがある。結局味わうようには食わないで、ズルズル熱中した後に思い出すだけのことではある。
 村上のエッセイの後に冷麦を買い求め食べてみたことがあるが、期待したほど感心はしなかった。これなら五島うどんの方がいいかもな。それにやはりソーメンの方がツルツルやるにはいい。遠慮が無くていいのである。まあ、それは文化の問題で、さらに夏という気分の問題なんだろう。
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