カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

東京オリンピックに間に合うといいですね   ひるね姫

2018-08-22 | 映画

ひるね姫/神山健治監督

 自動車整備工場をやっている父と二人暮らしの女子高生ココネは、育ち盛りの所為か、とにかく眠たいので頻繁に昼寝(というかうたたねも含む)してしまう。その時に夢を見る訳だが、その夢の中のある王国で持ち上がるトラブルが、何故か現実生活とシンクロして行って大変な騒動になる。女子高生の置かれている立場と過去とも関係があるようで、何も語らない父がそのカギを握っているらしいこともおいおいわかるのだが、何しろ父はある嫌疑をかけられて警察に拘束されている始末である。四面楚歌におかれているかに見えた状況は、夢の世界とあいまって思わぬ展開になっていくのだった。
 最初に疑問に思うのは、いくら子供のころに母親が亡くなったからといって女の子が料理を作れるようになるはずはないのではないか。さらにいくら自動運転だからって乗っている人間がまったく気づかないような事があり得るのだろうか。などがある。他にもいろいろありそうだが、だからファンタジーなんだって、という事である。シンクロしている世界観は、ジブリだったり攻殻機動隊だったりする。そういうことは、観ている立場としては分かりやすくていいかもしれない。アニメらしく女の子のスカートは短すぎるのにかなりアクティブである。設定なんだから仕方ないが、日本を代表する企業の隠れた孫娘が、その業界に知られてないはずがないとも思う。こういう世界はオタクがいるので、いくらでも調べる人が出てきそうである。また言ってしまった。まあ、そういうリアルさのようなものが混在してなくては面白くないので、たぶん気になるのだろう。
 ただし、面白くない訳では無いのである。いやこれは言い方が悪くて、大変に面白いのである。自動運転という事に関しては目新しくないし、いくら夢の世界だからといって巨大ロボットを人間が動かすことにはかなり違和感があるにせよ、さらにそういう偏見のような世界観で悪人が闊歩する単純さはどうかとも思うのだけれど、そういう世界観を表すための設定で、大いに騒動を起こしていくという展開自体には、観ていてワクワクさせられるものがある。父親がどうして自由の身になっているのかはとても不思議であるにせよ、カッコいいことは確かで、ヤンキーで頭がいいというのもどうかしているにせよ、恐らく基本的な理念は死んだ母親だったのだろうかなどと勝手に想像して物語を補完して観る分には、特に問題が無い。実写映画では、たぶんつまらないことになってしまうだろう、アニメならではの、見事な世界観と演出なのではなかろうか。
 でもまあ、夢の世界とシンクロするためには、女子高生にも何かもう少し仕掛けがあっても良かったかもな、と思う。いわゆる母親が実験か何かのためにチップのようなものを人体に埋め込んでおいたとか。平凡な人が戦うためには、何かもうひと工夫あると、観る方にも力がわくのではなかろうか。
 後で気付いたが、アニメの声優陣では無いにもかかわらず声の演出も良かった。そういうのも珍しい作品ではなかろうか。
コメント
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