カワセミ側溝から (旧続・中岳龍頭望)

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悪いのは巨大な権力や企業だろうか?   汚れたミルク あるセールスマンの告発

2018-08-06 | 映画

汚れたミルク あるセールスマンの告発/ダニス・タノヴィッチ監督

 パキスタンで乳幼児が粉ミルクで死んでいるという告発社会派映画。企業はネスレのようだ。パキスタンの事件だが、インドや英国、フランスが制作国となっている。作中はドイツも舞台になっていた。
 この主人公のセールスマンは、もともと国産の薬のセールスをやっていたが、医者が安い国産の薬を処方したがらない背景があって(患者も外国産を欲しているという理由もある)、成績がなかなか上がらなかった。就職活動をして、より給与の良い外資系(おそらくネスレ)の会社に入ることに成功する。要するに生活のためにもっとお金を稼ぎたいという気持ちが先にあったという事である(まあ、当然だろう)。
 それで最高の粉ミルクを乳幼児に処方すべきだと医者を説得し、良いセールスを記録していく。ところがある活動家から、この粉ミルクを不衛生な水で溶かして飲ませたり、水を多めに薄く作る(要するに粉ミルクが高価な為に節約しようとするらしい)母親が多くいるために、乳幼児がたくさん死んでいるという事を聞かされる。急に正義感が目覚めたという感じになるが、当然会社はつべこべ言わずにもっと粉ミルクを売れ、という事になる。それで活動家(ジャーナリスト)と共に告発に踏み切るが、そのことにより会社側の強大な権力と医者たちの妨害にあって窮地に陥っていく。
 もちろん、子供たちが不衛生な環境や栄養不良のために亡くなっていくことは痛ましいことだ。巨大な国際的な企業が大きな力をもって、国家権力にまで力を及ぼしているらしい背景もいただけない。ジャーナリズムがそういう構造に飛びついて告発したいという思惑も分かる。しかしながら、なんとなく疑問が払拭できないのは、このような左翼的な考え方の人々は、どこか浅はかな感じなのである。告発を手助けする主人公のセールスマンも、終始どこか信用が置けない。実際に大きな失敗をやらかしてしまうことになるのだが…。
 実際にこの映画を観て思うことは、巨大企業がやり玉に挙がって突き上げられるものの、事の根本は貧困である。本当に責任があるのは、そういう事実から目を逸らす我々にあるという事になるのだろう。ジャーナリズムは、そういうことからこそ注視すべきなのではないだろうか。
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