カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

日本のゴルゴ13を知っているのではないか?   反撃

2015-09-20 | 読書

反撃/リー・チャイルド著(講談社文庫)

 今回はリーチャーがシカゴの通りを歩いていると、足を怪我しているらしい若い女がクリーニング店前で服をもったまま転びそうになり、それを助けようとしたら、そのまま二人とも誘拐されてしまうという展開。武装した3人組に捕えられたとはいえ、殺人鬼リーチャー1人だったら何の問題もなく逃げ出すか三人とも殺してしまっただろうけれど、足をけがした女に被害が及ぶのを恐れて一緒に捕えられたということなんだろう。しかしながらその判断で、状況はどんどん悪化して武装軍団の組織の中に捕えられるということになってしまった。そうしてことは国家的な危機にまで発展していく。
 前作のキリング・フロアー(さらに映画のアウト・ローも観てるし)も読んでいるので、いかにジャックー・リーチャーがスーパー・マン的に圧倒的に強いかは知っている。そういう訳でちょっともどかしい展開だけれど、いろいろ勘違いも続いて判断を何度も誤ってしまうところが愛嬌で、しかしちゃんとゴルゴ13になって活躍して溜飲を下げるという展開である。パターンは呑み込めているので、ちゃんと恋愛とセックスがセットになっていることも確認。欲張りな娯楽だとは分かっているが、さすがなんである。将軍や大統領も出てくるし、悪人はとことん残忍で血がたくさん流れる。ちょっと残念だったのは、この悪党の大将が、比較的楽に最後を遂げたことくらいだろうか。あとはほぼ水戸黄門的に派手に展開して、後半は息もつかせないアクションの連続となる。ピンチに強がってもほぼお咎めなしなリーチャーは、さすがだなあと素直に感服できる。人によっては話術で簡単にだましてしまうし、追っ手の犬だって瞬時に手なずけてしまう。普通の人間なら200回くらいは死んでしまっていたと考えられるが、こうして恐らく続編まで元気でおられることだろう。
 まあとにかく娯楽作としてかっこよく、楽しい作品である。恐らくだけれど、前作よりもスケールをでかくしようと少し無理をしてしまった嫌いはあるのだが、絶望的な設定からどうやってそれらのピンチを打開するのかというのが大切で、そういう意味では、結構危ない橋を渡って、運のいいところは運よく乗り切れるところが、やはり面白いのではあった。今回もたくさんの人を殺すが、全部仕方のないことで、彼が本気なのだからしょうがないのであった。
コメント
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