カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

象のリーダーはどんな象?

2015-09-11 | 感涙記

 ナミビアの象のドキュメンタリーを観た。象が賢いのは聞いたことがあったが、水のありかを探ったり、山の木に水分を多く含んだものがあるのを知っていたり、経験や知識がかなり豊富であることが見て取れた。彼らに文字があったら、ずいぶんと長大な本を書き上げることが出来るのではなかろうか。
 象は子育てに時間がかかるというのもあろうが、集団生活をしながら、実に子象を大切に育てる。母親はもちろんだが、周りにいる多くの象が子供の象を気遣い世話を焼く。象がいくら巨大だからといって、アフリカは野生の王国である。気を抜くと、まだ弱い子供の象はライオンなどの餌食になりかねないのである。
 一般的に象の群れは雌がリーダーである場合が多いと聞く。しかしながらドキュメンタリーでは、水場を巡って少なからぬ集団が、皆集まってくる。そうした一連の秩序を保つリーダーが育たなくてはならないということらしい。そうして今までいたリーダーに何らかのトラブルがあったのか、居なくなってしまったのだ。
 後継のリーダー候補が何頭かいる。ナンバー2と目されていた雄を含めて約4頭。そういう中、以前は放浪をしていたと思われるプリンスという象が、徐々に頭角を現していく。現在30歳くらい(ちなみにアフリカ象は、60年から80年くらい生きるらしい)。以前はそれなりに暴れん坊のようなところがあったらしいのだが、現在は非常に落ち着いている。若い雄がじゃれついても、難なくあしらい付き合っている。60歳は超えるという長老が寄ると、鼻を相手の口元に寄せて敬意を示す。力を誇示して相手を屈服させるのではなく、コミュニケーションを巧みにとって、集団から信頼を得ることが先なのである。
 そういうある日、若い雄がこめかみから分泌物を出して興奮している。象は興奮するとそうなるらしい。まだ交尾をする年齢ではないらしく、自分の興奮をうまくコントロールできないのではないかという解説がある。荒々しく振る舞い、水場に近づく他の象に、乱暴に手出しをする。見かねたプリンスが近づき、要所では力で制し、この若い雄を落ち着かせるのである。他の有力象たちも、すっかりプリンスを新たなリーダーと認め、敬意を表すようになっていく。
 他に、象は昼間と違って夜にはお互い争い事はしないという。夜はライオンなどの動向を音から探る必要があって、観察のために争わないのではないかということだった。
 象の社会の秩序というのは、ある意味で極めて民主的な能力で決まるらしい。選挙ではないが、多くの支持を受けているからこそ、リーダーと認められているように見えた。これを教訓にすべきは誰か? ついつい人間社会を考えてしまうのであった。

追伸:それにしても象のメスの個体は、四年に一度、それも数日しか発情しないんだそうだ。そういうことも関係してか、若い雄が興奮が収まらないようなことになるんではあるまいか、と心配したりいたしました。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする