8020運動というのがある。たぶん80まで生きるとか考えにくいことだから関係のない話ではあるんだが、しかし自分の歯がたくさん残っている方が、そりゃ確かにいいようには思う。しかしながら今更後悔しても遅いが、虫歯の多い人生を歩んできたせいで、既に欠損している歯がいくつもある。親知らずは3本生えてきて、そのまま隣の歯を圧迫し、親知らずではなく奥歯を三本抜く羽目になった。前歯には30過ぎまで乳歯が残っていて三本の歯が重なるように生えていた時期があった。この重なりに虫歯がたくさんできて、本当に穴ぼこがいくつもこしらえてあった。結局ひどく腫れた上に三本とも抜かなければならなかった。今は構造上どうなっているか自分でもよく知らないけれど、ブリッジをかけたりいろいろ工夫して、土台だけが残っている部分があるようだ。しかしながら結局いろいろ抜かれたようにも思う。先ほど確認して数えてみたが、恐らく24本ほど残っているように思われる。親知らずが3本生えたから、全部で31本生えていたはずで、そうすると7本が抜けてしまったということだ。残りの人生で4本を死守することになるということだが、聞くところによると、歯が抜けてしまった人は、歯茎の何とかいう関係で、さらに歯が抜けやすくなるということもあるらしい。順にぽろぽろ欠けるような人もいるというし、まったく恐ろしいことである。さらにどうも歯周病というものにも罹患しているようだし、歯茎は腫れがちで出血もあるし、時折激しくぐらぐらするようなこともある。現在は比較的真面目に歯磨きしていたりして悪いなりに安定しているが、やはり不安だ。マウスウォッシュを併用するのも良いというが、これや歯磨き粉自体を誤って飲み込んだりすると腸内フローラといわれる細菌が死んだりするともいう。腸内フローラの働きが悪いと、そもそも短命であるとも言われる。歯磨き粉が恐ろしいなんて困ったことである。
ところで人間以外の動物は歯磨きなんてしない。歯が悪くなったら寿命が来るんだろう。愛犬も歯が悪くなるのを見たことがあるので、人間の食べ物が歯に悪いという話もある。天然のものを食べたから虫歯にならないという理屈はいまひとつわからないが、長寿であれば歯の負担はそれなりにあるというのが理屈だろう。
そういうことではあるんだが、魚ではあるが、サメは虫歯にならないのだという。あんなにたくさんの歯があるのになぜ？ と思われるかもしれないが、実は歯が頻繁に生え変わるためらしい。欠けたり抜けたりしても、すぐに次が生えてくる。そういう入れ替わりが激しいために虫歯菌が繁殖する時間が無いということらしい。うらやましい話だが、しかしだからといってサメになりたい訳ではない。サメのような機能を人間である僕一人が獲得するのも気が引ける。やはり歯磨きを丁寧にやるより他に無いのであろう。
