カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

女はどんな人生を歩もうとつらい   ソウルメイト:七月と安生

2024-05-03 | 映画

ソウルメイト:七月と安生/デレク・ツァン監督

 中国映画。七月と安生は幼馴染の女の子で、性格も境遇もまったく違うものの、妙に気が合い、親密な友情と絆をもって成長する。そうして思春期になり、優等生の七月には、同じく成績を競い合っている家明のことが好きになる。七月のことが気になる安生は、こっそり家明に会いに行って、このことは秘密にするように言うのだった。家明は性格がよく自分のことを好きでいてくれている七月のことはもちろん恋人として好きなのだが、その七月の友人である奔放な性格の安生にも、ひどく心を動かされるものがある。そうしてそれは成長して、安生と七月の生活が離れて暮らすようになってからもなお、感情をひっかくように引きずらせていくのだった。
 一方女友達である七月と安生にも家明との問題は、当然くすぶっている。奔放な安生は、違う男と違うまちでみだらな暮らしを繰り返しているものの、心の中にはいつも忘れられない家明のことがある。家明は、彼にふさわしい七月としあわせに結婚すべきだと、心に誓っているかのようである。そしてその思い通りに、彼ら二人は実際に結婚することになるのだったが。
 単に幼なじみの大親友が、同じ男を好きになり、しかし一方の方がちゃんと付き合い続けている中で、しかし親友だから離れても時折会う訳で、男女の関係のみならず、感情が上滑りで動いて、激しくぶつかり合うことにもなってしまう。後半になると一気に思わぬ展開になり、そうして思わぬ仕掛けが隠されている。とにかく悲しい訳だが、こんなことが許されていいのだろうか。
 僕は個人的にとても好きになりそうにないタイプの主人公の女性が一方に居て、それは感情移入が難しい訳で、しかしこの彼氏はとてもまともな一生を送れないことはよく分かる。自分に正直に生きるには、もうすでに若いころからそれは不可能な条件に巻き込まれてしまうのである。いい人間だとは思うものの、この設定で一番悲しいのは、この男なのではなかろうか。
 まあ、激しい友情物語なのである。苦悩の生き方を選ぶ七月に対して彼女の母親は、娘をなだめる時に「女はどんな人生を歩もうとつらい」という。できれば娘は例外であって欲しいが……。なるほど、そうだったのか。僕らはつらい人生を歩まないで、生きていきたいものである。
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