この世のなごり:レガシー

2021-02-06 | 【断想】音楽

 チェット・ベイカーは、休業状態にあったが、1970年代半ばに、ジャズ・シーンにカムバック。
 ジェリー・マリガンやジム・ホールと演奏の機会を持ち、その後、ヨーロッパへ。
  1978年、ドイツのレーベルENJA:enja(European New Jazz)で録音したのが、「The Legacy vol.1~5」として、売られている。
 vol.4は、先日聞いた「クレイジー・ムーン」。
 今夜は、vol.1の「レガシー」を聞こう。ライブ録音である。
 「レガシー」は、遺産とか名残と言う意味だ。
 なごり雪と言う場合の「なごり」と解すれば、詩情も。
 演奏は、以下の4人とNDRビッグ・バンド。
 チェット・ベイカー(tp)
 ウォルター・ノリス(p)
 ハーブ・ゲラー(b)
 アレックス・リール(ds)
 1.HERE'S THAT RAINY DAY:港町に雨が降る雰囲気。洒落ている。
 2.HOW DEEP IS THE OCEAN
 3.MISTER B
 4.IN YOUR OWN SWEET WAY
 5.ALL OF YOU
 6.DOLPHIN DANCE
 7.LOOK FOR THE SILVER LINING
 8.DJANGO
 9.ALL BLUES
 このアルバムには、ウエスト・コーストの明るい光と風がある。
 チェット・ベイカーは、この時、50歳くらいだが、まだまだ若い感覚を失っていない。
 気持ちよく聞ける。
 持って生まれたものだな。
 チェット・ベイカーは、終生、優しい詩心を持っていた。
 質はちょっと違うが、アルバート・アイラーにも、それを感じる。
 エレクトリックな共同演奏になることはなかった。
 ジャズ本来のスタイルからはずれることはなかった。
 あくまで、「個」であるのだ。
 人の魅力なのだ。
 このアルバムでは、ビック・バンドとやっているが、メインは、チェット・ベイカーのトランペットなのだ。
 トランペット協奏曲だ。
 チェット・ベイカーは、麻薬にとりつかれていたが、リリシズムを失うことはなかった。


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