風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

東北弁

2005-08-03 | 風屋日記
私が生まれ育ち、今も住んでいるのは岩手県。
当然東北弁が公用語(笑)・・・といっても、「東北弁」ということばはない。
東北6県それぞれ違うし、同じ県内でも地域によってはかなり違う。
(大きくわけると、沿岸部は北三陸と南三陸。
 内陸は県北、盛岡・花巻の中央、水沢以南の県南。特に水沢以南は旧伊達藩なので。)

福島は北関東に通ずる尻上がりのイントネーションだが、
「ンだべした」みたいにやたらと長い接尾語がつく。
(「それは会津だげだべした!?」と言われそうだけど 笑)

宮城というより仙台もまた独特なイントネーション。
福島と山形が混じった感じ・・・といってもわからないよね(笑)
先日出張で仙台へ行った時のタクシーの運転手さんの話。
「うぢの会社は楽天と契約してでっしゃ。
 たまーに田尾監督のせるごどもあるけんと、まげたどぎはせづないねー。
 勝ったどぎは機嫌もいいがら、こっちもうれしぐなるけんと。」

秋田の言葉は、何を言っているかは分かるけどきたない。
(rwwaさんごめんなさい。
 でもうちの会社にいる大館桂高出身の女性も「そうそう」って言います 笑)
何しろ男も女も同じ言い方をする。
「そんでヨゥ、オレもンだがど思ったどもヨゥ」これ女性の言葉。
秋田の女性はホントにきれいな人が多いので、そのギャップが激しい。
私の知人が秋田の営業所との合同研修会に出た時の話を聞いた。
すごくかわいい女の子がいて仲良くなりたかったけどおとなしい。
ようやくとある夕食時に隣の席に座ることができたので話しかけてみた。
「ねぇねぇ、休みの日とかは何してるの?」
その彼女、ポッと頬を染めて「ままこへ・・・」
(解説 「ままこへ」とは「まま→ごはん」「こへ→こしらえ→作り」)

青森は一番独特・・・といっても津軽の方ね。
旧南部藩と旧津軽藩ではことばも生活様式も価値観すら違うようだ。
津軽の言葉は隣の県に住む我々にも理解不能。
なにせ「わたし→わ」「あなた→な」だもんねー。
「したばって、へづぁわだっきゃ」みたいな感じかな(笑)
したばって、岩手のわには解説不能。
正しい津軽弁を聞きたい方は方言詩人高木恭蔵の朗読CDを聴くべし。

なんでこんな話題にしたかと言うと、
先週うちの家内が埼玉で受けてきた研修が「日本語」教育についてのもので、
いなかっぺいが歌舞伎の「白波5人男」を津軽弁で朗読したCDがおもしろかった
という話を家内から聞いたため。
それは私もぜひ聞きたい。
何せ大学で言語地理学を学んだ私なので、激しく興味アリ。

(余談)
大学入学と同時に上京した私は田舎モンにはちがいなかった。
・・・が、それでもバカにされれば悔しい。
一番悔しかったのは、名古屋出身、山梨出身とマクドナルドに行った時のこと。
名古屋「田舎にマクドナルドなかったがや? えりゃー田舎モンだがぁ」
山 梨「山梨より岩手の方が田舎だらぁ!?」
もちろん当時、花巻にマクドナルドなんぞなかったので私は初体験だったが、
そんなことおめーらに言われたかねーよ・・・と思った。
コメント (8)
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青春の詩

2005-08-02 | 風屋日記
  喫茶店に彼女とふたりで入ってコーヒーを注文すること ああ それが青春
  映画館に彼女とふたりで入って彼女の手をにぎること ああ それが青春
  繁華街で前を行くいかした女の娘をひっかけること ああ それが青春
  すてきな女に口もきけないでラブレターを書いたりすること ああ それが青春
  GO GOクラブで汗だくになって踊り疲れること ああ それが青春
  グループサウンズに熱中して大声あげ叫ぶこと ああ それが青春
  フォークソングにしびれてしまって反戦歌をうたうこと ああ それが青春
  SEXを知りはじめて大人になったと大よろこびすること ああ それが青春
  親にかくれて酒・タバコ・睡眠薬はては接着剤シンナー遊び ああ それが青春
  アルバイトばっかりで学校へは行かずてきとうにやること ああ それが青春
  飛行機のっとり革命叫び血と汗にまみれること ああ それが青春
            (中 略)
  さて青春とはいったい何だろう その答えは人それぞれでちがうだろう
  ただひとつこれだけは言えるだろう
  僕たちは大人より時間が多い 大人よりたくさんの時間を持っている
  大人があと30年生きるなら 僕たちはあと50年生きるだろう
  この貴重なひとときを僕たちは 何かをしないではいられない
  この貴重なひとときを僕たちは 青春と呼んでもいいだろう


吉田拓郎のデビュー曲「青春の詩」の一節。
確かにあらためて今読んでみると
「ひっかける」や「ラブレター」や「GO GOクラブ」や「しびれる」など
古語や死語がわんさか(これも死語 笑)だが、
私の年代から10~15歳上ぐらいまでの年齢の方々にとって
まさにこれらが青春だった。
いわば「ポスト団塊の世代」ってところだろうか。
今はみんな「大人」としてそれぞれのポジションで生きているが、
そういう「大人」たちも大人を信じないこんな頃があったってことだよ。
さすがに私の高校~大学当時はグループサウンズやシンナー遊びはなかったし、
「GO GOクラブ」ではなくて「ディスコ」だったけれど、
それでもこの歌詞とは大差ない毎日を送っていた。
今日は何を言いたいのかというと
「おじさん、おばさんたちにだって青春時代はあったんだよ」ってこと(笑)

それにしても「喫茶店でコーヒー」も「彼女の手をにぎる」も
もちろん「飛行機のっとり革命叫び」もそうだけど、
「SEXを知りはじめて大人になったと大よろこび」も死語になりつつあるかなぁ。
私達の若い頃は、若者向け雑誌の相談コーナーに
「結婚までは純潔を守りたいのに彼が求めてきて・・・」
などという相談がごくフツーに載っていたんだけど。
コメント (6)
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記録

2005-08-01 | 風屋日記
今日から8月。
TVや新聞などでは例年のように戦争の記憶の特集を始める。
まして今年は終戦から60年の節目の年なので、特別企画がめじろ押しだ。
だが60年ということは、幼い記憶が残っている人でも70歳。
自衛隊が他国へ派遣され、平和憲法が改正されようとしている今、
私達は60年前の戦争をどのように振り返ればいいのだろうか。

私が子どもの頃、大人達はみんな戦争を経験していた。
町や生活の周囲にも、まだまだ「戦後」がたくさんあった。
学校でも家でも、戦時中の話をよく聞いた。
戦時中に群の命令で殺された動物園の動物達を描いた「かわいそうなぞう」や
広島で原爆の直撃を受けて全滅した広島二中一年生を描いた「碑」を読み、
「ビルマの竪琴」や「二十四の瞳」の感想文を書いた。
私は、そういう教育を受けてきた私達の世代を「戦後1世」だと思っている。
戦争を実体験した人達がどんどんいなくなってきている今、
人間の愚かしさが招いた悲劇の歴史を後世に伝えるバトンは私達に渡されつつある。
「アメリカと日本が戦争をした」ことを知らない大学生や
ひめゆりの塔、原爆慰霊碑に落書きやイタズラをする若い世代の人達は、
私達「戦後1世」の子供達の世代だ。
だからこそ私達自身の責任は重い。

これまでたくさんの戦争に関する本や資料に意識して目を通してきた。
TVの番組も必ずチャンネルを合わせてきた。
沖縄戦の悲劇、原爆の記録、空襲の被害、出征の悲しさ、そして特攻隊。
インドシナ半島におけるインパール作戦や南方の島々での地獄、
中国における蛮行やソ連侵攻による逃避行、シベリア抑留・・・。
数えきれない悲劇があり、何年経っても、更に目にする記録の数を重ねても、
瞠目の思いは更に深まるばかりだ。

写真をよく見る。
心を打つ・・・というより、心が引き裂かれる写真がたくさんある。
死んだ幼い弟を背負い、気をつけの姿勢で荼毘に付す順番を待つ少年、
母が乳飲み子をしっかり胸に抱いた格好で、炭化するまで黒焦げになっている親子、
故郷から遠く離れた南方の地で、ぼんやり瞳を開いたまま野辺に草むす戦死した兵士、
これから特攻隊として出撃しようとしている学徒兵のうつろな顔・・・。

私がもっとも衝撃を受けた写真は、とある本の口絵にさり気なく載っていた。
一目見た時は不思議な光景に異様さを感じただけだが、
意味が分かった瞬間意識が凍りつき、ことばもなかった。
何かを考えることもできずに、すぐに本を閉じた。

30人近い人達が全員同じ格好で倒れていた。
上半身はちゃんと服を着ているのだが、下半身がむき出しだ。
大人から、どう見ても10歳前後と思われる子どもまで、
女性ばかりが下半身を晒し、足を立てて広げ・・・死んでいた。
侵攻してきた日本軍に襲われた小さな村での出来事らしい。
(強烈な印象だったためキャプションすらよく覚えていないが、南京侵攻時?)
餓えた日本兵達に襲われ、その格好のまま殺されたたくさんの女性達。
妙な表現だが、きちんとみんな揃って同じ格好をしている遺体たちに
その出来事の異様さを感じた。

誰が悪いわけではないと私は思う。個人を責めるつもりは毛頭ない。
アメリカも、中国も、日本も、ソ連も、ドイツも、イタリアも、イギリスも・・・
どの国の兵達も国の名誉と威信をかけ、愛する人達を守るために命をかけて戦った。
たくさんの人を殺し、残虐な行為を行い、略奪し、陵辱した。
それが戦争だから。
それが戦争だ。
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